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ニッコウキスゲ開花状況(2022年7月5日)

2022.07.05

6月下旬から咲き始めたニッコウキスゲですが、早くも見頃を迎えてきています。

オレンジ色のニッコウキスゲ群落
<車山肩ビーナスの丘>

今年は開花が一気に進んだためか橙色の群落が見事です。
ぐんぐん成長して丈がいつもより長い印象です。

霧ヶ峰の各地点でのニッコウキスゲの咲き具合です。
・八島ヶ原湿原…4割
・霧ヶ峰自然保護センター周辺…4割
・車山肩…3~4割
・富士見台…4割
・車山高原…見頃

八島湿原
〈八島ヶ原湿原〉
センター周辺
<自然保護センター周辺園地>
車山肩
<車山肩>
富士見台
<富士見台>

小さな蕾はまだたくさんありますので7月中旬頃でも楽しめそうです。

このあとの雨・風の影響が少ないことを祈ります。
さらに、車山肩S字カーブ付近に3年前に設置した電気柵の中にも、30~40株ほど開花しているのを確認し感動しました。この電気柵はニホンジカの食害から守るため設置しています。
牧野共同農業組合の方々が中心となり草刈りを行ったのですが、日が当たりやすい環境になったことで花が咲くようになってきたのでしょう。

人間は自然のすべてをコントロールすることはできませんが、人が手を入れることは必要なのだと感じます。

ほんの十数年前までは一面がニッコウキスゲの橙色に囲まれていた霧ヶ峰。
昔を知る方からは当時を惜しむ声も聞かれますが、今年のニッコウキスゲはかつての様子が少し蘇ってくるようです。

ニッコウキスゲ開花状況(2022年6月30日)

2022.06.30

ニッコウキスゲのお問い合わせが多くなってきました。ここ数年早く開花する傾向ではありましたが、今年はその中でも早い開花を迎えています。

園地のニッコウキスゲ
<霧ヶ峰自然保護センター近くの園地電気柵内>

ニッコウキスゲの花がポツポツと目立ってきました。

八島湿原広場近くのニッコウキスゲ
<八島湿原広場近く>
車山肩ビーナスの丘のニッコウキスゲ
<車山肩ビーナスの丘周辺>

ビーナスの丘周辺レンゲツツジとのコラボ
<ビーナスの丘周辺ではレンゲツツジとのコラボも見られました>
車山肩周辺の蕾の様子
<蕾の数もたくさん見られます>
富士見台のニッコウキスゲ
<富士見台でも黄色が目立ってきました>

車山スキー場のニッコウキスゲ
<車山スキー場付近、花数が多くなってきました>

今後の天候次第で開花の進み具合は変わりますので、ピークを予想することは難しいです。
また、一番良い時期をと皆さまが集中されますと、駐車できずにご覧いただけなかったということもあります。
ゆっくり楽しむには少し日にちをずらしてお出掛けになるのが良いのではと思います。

今年のニッコウキスゲは?

2022.06.26

先日までまだ咲いていると思ったレンゲツツジですが、
ここ数日の強風であっという間に花が落ちてしましました。

かと思えば早くもニッコウキスゲがポツポツと咲きだしていました。
センター前の園地では、ここ数年6月末に開花を確認していましたが、今年は6月20日頃に開花を確認しました。

草原に咲くニッコウキスゲ
〈センター前の園地で〉

ニッコウキスゲの見頃は例年7月中旬頃。
見頃は年によって異なりますが、気温の高い日が続けば今年は7月上旬に見ごろになるかもしれません。

ニッコウキスゲと小さな虫
<ニッコウキスゲ>

ちなみに、この写真のニッコウキスゲの茎に白いものがついていますが何だと思いますか?

実は、これはアブラムシの一種でキスゲフクレアブラムシといい、ニッコウキスゲから出る汁を吸って生きています。
小さな虫が集まった様子に、ゾワゾワと感じる人もいるかもしれません。
ぎっしりと「密」状態であまり動きがありませんが、窮屈に感じないのでしょうか…。
ですが、たまに歩いている姿を見かけることがあり、一列になってちょこちょこと歩く様子は面白いです。

ニッコウキスゲ以外にもいつの間にかさまざまな植物が開花していました。

アヤメの株
<アヤメ>

アヤメ、イブキトラノオ、キバナノヤマオダマキなど。

白くて細長いイブキトラノオ
<イブキトラノオ>
キバナノヤマオダマキ
<キバナノヤマオダマキ>

キバナノヤマオダマキは毎朝確認する百葉箱の下に咲いていました。
咲いてみないと気付かない花がいくつもあります。
日々植物の変化が楽しめる季節です。是非ゆっくり散策してみてください。

レンゲツツジ開花状況(2022年6月16日)

2022.06.17

例年並みの場所と例年よりは少ない場所とありますが、霧ヶ峰全域でレンゲツツジがほぼ見頃をむかえています。

霧ヶ峰の各地点でのレンゲツツジの咲き具合です。
・車山高原…見頃すぎ
・伊那丸富士見台…見頃すぎ
・富士見台…見頃すぎ(蕾は少な目)
・踊場湿原…見頃すぎ
・霧ヶ峰自然保護センター周辺…見頃
・八島ヶ原湿原…見頃
・車山肩…見頃
・車山湿原…見頃(蕾は少なめ)

踊場湿原の南側遊歩道付近
<踊場湿原の南側遊歩道付近>
踊場湿原内
<踊場湿原内>

踊場湿原ではピークは少し過ぎましたが、まだ楽しめます。

車山肩周辺から車山湿原にかけては、蕾が少なかったのですがすでに開花しています。コバイケイソウも咲き始めましたが、今年は少なめの開花のようです。

咲き始めたコバイケイソウ
<咲き始めたコバイケイソウ>
車山湿原のレンゲツツジ
<車山湿原のレンゲツツジ>

車山肩から車山湿原周辺のレンゲツツジは少ないのですが、今年の中では見頃と判断しました。
レンゲツツジの花芽が少ない理由ははっきりとはわかりませんが、積雪がかなり少なかった年が何年か続き、厳しい寒さによって木が傷んだことが原因のひとつかもしれません(雪の中は外よりも温度が高いのです)。それでも葉をつけているので完全に枯れてしまったわけではありません。

さて、センター近くの園地のレンゲツツジはここ数年の中では花数が多い印象です。

レンゲツツジの群生
<センター前園地のレンゲツツジ>
レンゲツツジ
<園地のレンゲツツジ>

レンゲツツジは後1週間位楽しめそうです。
これから初夏に向かって高原はさらに賑やかになっていきます。

レンゲツツジ開花状況(2022年6月4日)

2022.06.04

白樺湖から車山高原にかけてレンゲツツジが見頃を迎えています。

斜面に朱色のレンゲツツジ
〈ビーナスライン沿いで〉
ぎっしりと咲いたレンゲツツジ
<車山高原>

ビーナスラインを走ると色鮮やかなレンゲツツジが目に飛び込んできます。
写真を撮られる方は安全な場所に車を止めて、走行車両に気を付けてくださいね。

白樺湖を見下ろせる場所からは、湖の青さとレンゲツツジの赤の対比が見事でした。

白樺湖とレンゲツツジ群落
<白樺湖とレンゲツツジ>

霧ヶ峰の各地点でのレンゲツツジの咲き具合です。
・車山高原…8割(見頃)
・伊那丸富士見台…2~3割
・富士見台…1割(蕾は少な目)
・踊場湿原…7~8割(見頃)
・霧ヶ峰自然保護センター周辺…咲き始め
・八島ヶ原湿原…咲き始め
・車山肩…蕾
・車山湿原…蕾(蕾は少なめ)

今年は花の色づきが良いように感じます。
株によって色合いが少し異なるので、お気に入りのレンゲツツジを探してみてください。

レンゲツツジ開花状況(2022年5月31日)

2022.05.31

踊場湿原のレンゲツツジが開花しています。
昨年の同じ時期は開花し初めでしたが、今年は植物の開花が全体的に早く、踊場湿原は4割ほど開花していました。

レンゲツツジ群落
〈踊場湿原南側の丘〉
レンゲツツジアップ
<雨に濡れるレンゲツツジ>
蕾の多い木
<これから開花する木>

この先気温が高い日が続けば、踊場湿原での見頃は1週間程でやってくるかもしれません。

センター周辺やそのほかの場所でも蕾が膨らみ朱色が目立ってきたものがあったので、6月中旬以降には霧ヶ峰全体でも見頃になりそうです。
ちなみにセンター裏の林近くでは蕾がたくさんついていたので、これからの様子が楽しみです。

今日はしっとり霧がかかり、レンゲツツジの朱色が際立っていました。

霧に包まれる林
<霧がかかる>

写真と実際の色は少し違うように見えます。
是非足を運んで見てみてください。

レンゲツツジが咲いている近くにあった高さ7m位の木を見上げると、白い花が。

ミヤマザクラの白い花
<林の際で>

ミヤマザクラです。霧ヶ峰で咲く桜の中では一番遅くに咲く種類の桜です。

ミヤマザクラより樹高が低い木にも白い花が咲いていました。
こちらはズミ。

エゾノコリンゴの白い花
<駐車場脇に咲いていたズミ>

可憐な花をたくさんつけていました。
昨年は花付きが少なめだったのですが、今年はすでにたくさん花をつけた木を見かけます。

霧ヶ峰に花々の季節がやってきました。

レンゲツツジの様子はまたブログでお伝えします。

旧御射山のアオナシの花

2022.05.22

花の種類が少しずつ増えてきました。

丈の小さな植物が我先にと地面から顔を出します。
周りに背の高い植物が少ないこの時期は、小さくても充分に日にあたり成長することができます。

コケと落ち葉の間に咲く紫色のスミレ
〈タチツボスミレ〉

スミレ、フデリンドウ。
薄茶色の枯草が引き立て役のように感じる鮮やかな紫・青色です。
ハッとする色合いですが、人間を惹きつけるため、というわけではもちろんなく(かわいい見た目に釘付けになりますが)花粉を運ぶ昆虫を惹きつけるためと言われます。

枯草の間に咲くフデリンドウ
<沢渡の道路わきに咲いていたフデリンドウ>

八島ヶ原湿原の南端にある旧御射山に足を運ぶと、
アオナシの木にたくさんの花が咲いていました。

旧御射山
<旧御射山。中央右側がアオナシ>

花の付き方は毎年同じではないですが、
今年はよく花がついています。

アオナシの白い花
<アオナシの大木。霧ヶ峰では「やまなしじいさん」という名前でもおなじみ。>

大木の下で花をじっと眺めていると、時間を忘れてしまいます。
花弁は大きく、葯が紫色で目立ちます。
そして花には虫がやってきていました。

アオナシの花
<アオナシの花>

受粉し、秋になると直径3センチほどの青い実がなります。
アオナシに似たヤマナシは、現在食用としているナシのもとになっていると考えられていますが、
アオナシは果実の底についている「がく片」が飛び出ているため区別できます。
どちらも食用のナシとは異なり、そのまま食べるのは…
大変なようです。

今年は実がいくつなるでしょうか。
秋になる果実も見てみたいものです。

アオナシに続いて、花を咲かせそうな蕾を見つけました。

気についている赤い蕾
<赤い蕾>

ズミです。
アオナシと同じくバラ科の植物で、別名のコナシという名前でも知られています。
蕾は赤いのですが、白い花を咲かせます。
ズミが咲く日もあと少しかもしれません。楽しみです。

カラマツの芽吹き、斜面のショウジョウバカマ。

2022.05.18

ここ何日かで木々の芽吹きが青々としてきました。

青々とした針葉樹

センター裏のカラマツ林ではブラシのような新芽がワサワサと伸びていて、思わず触ってみると柔らかです。

カラマツの芽吹き

成長しそうな雌花を見つけたので、昨年見られなかったピンク色に色づく花が見られそうだと楽しみにしていたのですが、氷点下の日があったためか、その後成長せず、ちょっと残念でした。
でも新芽はいきいきと成長しています。

さて、先日霧ヶ峰パークボランティアの講座で車山周辺を歩いてきました。
みなさん捨てているわけではないのでしょうが、登山道にはゴミやマスクなどが落ちていました。

ゴミ拾い

ボランティアの方が拾いながら歩いていると、「ご苦労様」と何人もの方が声をかけられていました。こんな風に声をかけていただくとやりがいがあります。

車山山頂へ向かう途中の斜面では、見頃を少し過ぎたショウジョウバカマがたくさん生えていました。

ピンク色のショウジョウバカマ

この場所は数か月前までは一面雪に覆われていた場所です。
少し湿り気のある場所を好むこの花は、雪解け後に現れる植物のひとつです。
袴のように見立てた葉はしっとりとしていました。

枯草の中に白い蕾を見つけました。

草むらに白い蕾

ヒメイチゲが咲いていますが、わかりますか?
もともと小さい花ですが、蕾は一段と小さく見えました。

さらに、山頂から湿原へ降りると、目立つところに桜の木が生えています。
湿原脇の斜面にも同じ木と思われる桜がぽつぽつと咲いていました。

桜の木
小ぶりでピンク色の花

里では春になると植物が一気に開花し、とても賑やかですが、霧ヶ峰の春は静かでゆっくりと進みます。
それでも、すでに初夏に咲く花の新芽がいくつか出ていました。

新芽の様子

コバイケイソウです。
他にはニッコウキスゲも新芽が出ていました。
草原全体は茶色の中に緑色が現れ、植物の勢いを感じます。

車山湿原のザゼンソウ

2022.04.15

今年は多かった雪。ですがあっという間に解けてだいぶ減ってきました。

雪が残る車山湿原
<車山肩から車山湿原を見下ろす>

この時期に車山湿原に来たのは、この時期に咲く植物の様子を見たかったからです。
何かというと、ザゼンソウ。
霧ヶ峰では雪解け後、真っ先に咲く花です。

雪解けの水に浸るザゼンソウ
<雪解け水に浸るザゼンソウ>

湿原をぐるりと一周すると、西側の方にたくさん見つけました。

小さいザゼンソウがたくさん咲いている
<小さなザゼンソウがいくつも>
ザゼンソウ
<外側の赤い部分は仏炎苞>

ザゼンとは座禅。僧侶や達磨のイメージからつけられた名前のようです。
小人たちの帽子のようにも見え、あちこちで姿をのぞかせていてかわいいです。

自然のものなので仕方ないのですが、どれを見ても内側の花の部分が良く見えず、そっぽを向いているようでした(湿原の中には入れません)。

たくさんあるのになぜ?!とちょっと不思議です。

ザゼンソウが咲いている湿原の表面はポコポコと波打っています。

たくさんのザゼンソウ
<湿原の表面>

車山湿原は高層湿原と呼ばれ、ミズゴケなどの泥炭が厚く積もった特殊な湿原です。
一年に一ミリというわずかな量が積み重なり、また、波打った表面は凸凹を繰り返しながら成長しているといわれます。

車山湿原の正確な年数はわかっていませんが、深いところで約1.5mあるため、長い年月をかけ今の姿になったことが想像されます。
ザゼンソウも春に現れては枯れ、また新たな世代に入れ替わり、ということを何度繰り返してきたのでしょうか。
誰もいない湿原で、ふと、長い時間を感じたような気がしました。

草にとまるノビタキ
<湿原にいたノビタキ>
大空を舞うトビ
<旋回するトビ>

湿原ではノビタキの朗らかなさえずりが響き、周辺ではトビが伸びやかに舞い、気持ちよさそうです。

霧ヶ峰にも春がやってきました。

車山湿原を歩かれる方は、足元が濡れないようにして、静かな春の霧ヶ峰を味わってみてください。

冬に感じるいきものの命

2022.03.13

今日は冬季巡回の最終日でした。
霧ヶ峰の八島ヶ原・踊場・車山湿原は、国の天然記念物として大切に守られており、積雪があっても許可なく立ち入ることはできないため、霧ヶ峰パークボランティアとともに啓発を行っています。
今日巡回した踊場湿原では、柵内にスキーの跡が一部見受けられました。

雪原に入り込むスキーの跡
〈踊場湿原〉

踊場湿原はスキーのメッカとして多くのスキーヤーに利用されていた場所ですが、天然記念物に指定された1939年以降、湿原内に立ち入ることはできません。

しばらく歩いていると、登山道は雪が緩んでいて多くの場所で何度も踏み抜いて大変でした。

人の足跡
<膝上まで踏み抜くことも>
キツネの足あと
<軽々と歩く動物の足あと>

右はキツネの足跡のようですが、体の軽い小動物は雪に埋もれることなくスタスタと歩いている様子が目に浮かびます。
では、二ホンジカのように大型の動物はどうでしょうか。

大きな足跡
<大きな足跡>

これは車山湿原で撮影したニホンジカの足あとです。
雪に深く潜りこんでも軽々と斜面を駆け上がる様子を以前に見たことがありますが、人間には真似できない跳躍です。

たくましい野生動物ですが、この冬は厳しかったようです。
積雪が多かったこの冬、二ホンジカは霧ヶ峰より標高の低い場所で食べるものを探していたようですが、何頭もの個体が息絶えていました。
最近の冬と異なり、厳しい環境下で過ごしていたようです。
しかし、亡骸は他の動物の食糧となり、新たな命につながります。
自然界を間近に見ていると、命の尊さを実感します。

さて、これは何でしょう。

枝からぶら下がったドライフラワー
〈天然のドライフラワー〉

枝からぶら下がっていて、ドライフラワーを飾り付けたような見た目がかわいいです。
リョウブの木ですが、よく見ると枝先には冬芽らしきものがついていました。
暖かくなるころには、このドライフラワーは落ち、芽吹いてくるのでしょう。
季節は知らない間に冬から春へと少しずつ歩みを進めているようです。

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