霧ヶ峰の自然

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1. 霧ヶ峰の植物

「霧ヶ峰のぼりつくせば眼の前に 草野ひらけて花咲きつづく」― 島木赤彦

車山湿原のレンゲツツジ

 渓流のほとりのザゼンソウが終わって5月に入ると、高原にもようやく春が訪れ、新芽の緑と地面の茶色・残雪の白のコントラストが実に美しく映えます。6月中旬にはレンゲツツジが草原を深紅に彩ります。7月中旬にはニッコウキスゲが高原を黄色に染め、この頃から8月中旬までおよそ900種類の花が一斉に咲き乱れます。

キリガミネヒオウギアヤメ

 雄大な草原・湿原、さらに安山岩の露出する岩場に点在する樹叢、それらの間をぬって流れる渓流など自然環境が多様で、そこに生育する植物には原生的状態が保存されており、種類の豊富さ・群落の大きさ等から貴重な存在となっています。

 霧ヶ峰の高層湿原で発見されたものに、キリガミネスゲ・キリガミネアサヒラン・キリガミネヒオウギアヤメなど約30種あげることができます。

2. 霧ヶ峰の動物

 多様な植生に恵まれ、蝶類や甲虫などの昆虫が数多く生息しています。国内で草原環境が減少している昨今、草原を好む野鳥や昆虫にとって、霧ヶ峰は貴重な環境のひとつといえるでしょう。

ノビタキ

鳥類

 草原性の野鳥であるノビタキやホオアカ、ヒバリ、ビンズイなどが観察できます。ノビタキは、霧ヶ峰を代表する野鳥のひとつで、渡り鳥として知られています。春先に営巣し、親鳥はヒナのエサとなる虫を運び与え、初夏には若鳥が姿を現します。そして、本格的な冬を迎える前に南方へと移動します。

 その他、1年を通じて、アカゲラやコゲラなどのキツツキの仲間や、シジュウカラ、コガラ、ホオジロなどが林や林縁で見られ、冬はレンジャクの仲間やハギマシコなどが訪れます。

ノアザミに止まるヒョウモンチョウ

昆虫・両生類

 夏の訪れとともに、ヒョウモンチョウやアサギマダラなどが飛び回ります。アキアカネは夏は涼しい高原で過ごし、秋に里へと下りていきます。

 八島ヶ原湿原では、5月末~7月頭頃に、「コロコロ…」とシュレーゲルアオガエルの鳴き声が響き渡ります。この、「八島湿原の蛙鳴あめい」は「日本の音風景100選」に選ばれています。

キツネ

哺乳類

 キツネ、タヌキ、アナグマ、ノウサギ、テンやイタチなどが生息しています。昼間はなかなかその姿を見せませんが、夕方から朝にかけてエサを求めて活動する姿が見られます。近年はニホンジカの数が増え、ニッコウキスゲをはじめとする植物や樹皮の食害が広い範囲で確認されています。

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