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3月24日の霧ヶ峰

2023.03.24

桜の便りが各地から入ってくるようになると、お問い合わせが冬の霧ヶ峰の様子から春の霧ヶ峰に関するものに代わってきました。そこで、今日の霧ヶ峰の様子を見てきました。

車山肩と車山
<車山肩から見た車山>

ビーナスラインの雪は殆ど融けています。ただ道の端には小さな雪の壁が残っている場所は路面が濡れています。まだ気温が氷点下になると凍結する可能性がありますので油断はできません。

車山肩
<車山肩の様子>

車山肩の駐車場の雪は殆どないため駐車スペースを探さなくても大丈夫でした。車山肩周辺の登山道の土が出ている場所は雨の影響と雪の融けた影響もあって、軟らかくグニャグニャした感じでした。車山湿原に下りて行こうと思ったら、まだ雪がしっかり残っていて先ずはツボ足で…

車山湿原の下り口
<車山湿原下り口>

先日まで硬く締まっていた雪の登山道を歩き始めて5~6m行くと、やはり…

ツボ足で歩くと
<膝まで落ちてしまいました>

いきなり、ズボッと落ちました。

スノーシューを履いて再チャレンジ
<スノーシューを履いて再チャレンジ>

スノーシューを履いて再チャレンジすると、ご覧の通り。楽々で歩けました。ひょっとするとこの時期の雪上スノーシューが一番威力を発揮するのかもしれません。

吹き溜まりの場所
<吹き溜まりの場所>

その先の吹き溜まり箇所には、まだ1m以上の積雪がありました。スノーシューのおかげで問題なく散策出来ます。

木道が見えてきた
<木道の上は雪が無い>

木道部分に来ると雪は全くなくなっていました。ここでスノーシューをいったん脱ぎます。

穴だらけの木道
<穴だらけの木道>

木道の上には無数の小さな穴が付いています。アイゼンやスノーシューでの跡だと思われます。まだ新しい部分にも多数の穴がみられ、木道の寿命が短くなってしまう恐れがあります。

分岐点付近の様子
<分岐点付近の様子>

その先の蝶々深山との分岐付近の様子です。木道の上にも雪が残っています。

車山乗越方向
<車山乗越方向の登山道>

反対側の車山乗越の方の登山道はまだ雪が多いですね。散策を計画される方は少し参考にしてみてください。車山山頂までの登山道の一部で地面の出ているところはぐちゃぐちゃになっている時もあります。その日の気温や散策する時間によって状況は変化します。今週末は天候が不安定でさらに雨が降って歩き辛くなる場所も出てきます。可能であれば装備に余裕を見て散策を楽しんでください。

ぽかぽか陽気の中で

2023.03.05

春が近づいている様なぽかぽか陽気の中、霧ヶ峰では多くの方が散策を楽しまれていました。少し霞んだように見えている遠くの山々を見ながら歩くと、散策路は締まった圧雪状態で歩き易くスノーシューやアイゼンが無くても楽しめました。草原にはまだ雪が30~40㎝(場所によっては吹き溜まりが1m以上に)くらいは積もっていて、その向こうの穂高岳が雄大に見えていました。

雪原の向こうの穂高岳
<雪原の向こうの穂高岳>

蝶々深山の稜線の先に、物見岩がちょこんと頭を出しています。

ちょこんと頭を出している物見岩
<頭を出している物見岩>

良く見ると、誰かの顔の様に見えませんか。

誰の顔かな
<誰の顔かな?>

そんな暖かさに誘われたのか、まだ多くの人や車が行き来するビーナスラインをキツネが横断して、草原内でこちらを見ては立ち止まり、また数歩歩いては立ち止まっていました。なんだか太陽の光が眩しいのか、眠いのかボーっとしていて可愛かったです。

眠そうなキツネ
<眠そうなキツネ>

センターに戻ると、センター前に雪だるまがお出迎えしてくれました。出掛けるときには無かったので訪れた方が作っていったのでしょうね。とっても可愛いく愛嬌があって、このまま融けずにいてくれたら良いのになと思いました。製作者の方「ありがとうございます」

センター前にあらわれた雪だるま
<センター前にあらわれた雪だるま>

道路の雪は、センターから八島湿原の間では圧雪・凍結箇所が残っています。また散策される予定の方は履物や服装は準備してお越しください。

車山スノーハイク(2023.2.20)

2023.02.20

昨日は里だけでなく霧ヶ峰でも大雨でした。
気温が低いため路面は凍結、県道40号線(角間新田~強清水)が一時通行止めになるなどの影響が出ました。

山の様子をお伝えするため、車山肩~車山~車山湿原~車山肩を歩いてきました。
コースタイム等は冬の霧ヶ峰 – 霧ヶ峰自然保護センター(ビジターセンター) (kirigamine-vc.jp)
のページの「冬季散策マップ」にも載っていますが、今回歩いたコースは約1時間30分くらい(休憩を除く)かかります。

地面は氷状態
〈車山肩駐車場)

車山肩の駐車場です。昨日が雨だったため地面は氷状態でツルツルでした。駐車するときにタイヤが雪に埋まると出られなくなってしまうのでご注意ください。歩く時もツルツルでちょっと怖いです(でも半分楽しかったです…)。

草木が雪の上に少し見えている山肌
〈駐車場から車山山頂へ向かう〉

積雪は少し減り30センチ程度でしたが、遊歩道がある場所は雪で覆われ固くしまっていました。
軽アイゼンやスノーシューなど刃のついた滑り止めがあるとよいです。服装は上下防水の服、手袋帽子などの防寒着、足元が濡れないようにスパッツを装着。軽装の方を見受けますが、車山肩で標高約1800mあります。また、木々が少ないため風を受けやすいので、しっかりとした防寒対策が必須です。

〈スノーシューを装着〉

八ヶ岳や富士山、南アルプスなど、こちらよりも標高の高い山々は冠雪していて、日が当たると真っ白に輝いていました。霧ヶ峰の気象は長野県の北信地域に比べ、冬でも晴れの日が多いです。

八ヶ岳
〈八ヶ岳〉
一面雪。奥に気象レーダードーム。
〈奥の建物は気象レーダードーム〉

気象レーダードームが見えれば山頂はもうすぐです。夏だと石がゴロゴロしていますが、雪面が固いので高速ですいすいと歩けるのが楽しいです。

展望テラスと蓼科山
〈山頂のテラスと蓼科山〉

夏は大にぎわいのテラスも冬の平日は人が少なく、景色をゆっくり見られます。…と言っても寒いので中々じっとはしていられませんね。こちらのテラスではアイゼンやスノーシューを外してご利用ください。

スキー場のコース
〈スキー場コース〉

車山山頂から車山乗越方面へ下ります。スキー場コースの下は雪が締まっていればよいですが、吹き溜まりになりやすく、体が埋まるほどになってしまうこともあります。滑走者に気を付けながらコース端を通る方が歩きやすいです。

雪で覆われる山々
〈車山肩と蝶々深山との分岐〉

右の山は蝶々深山。分岐からは往復1時間ほどなので、もっと歩きたいという方はこちらに行くのもおすすめです。今回は左側を通り、車山肩へ戻りました。

車山湿原と山並み
〈車山湿原と車山〉

車山肩へ戻る最後の登りで振り返って見える景色です。

中央から左は車山湿原です。車山湿原は国天然記念物のため積雪時でも許可なく立ち入ることはできませんが、この場所は湿原だけではなく、車山北側の樹叢を含む湿原周囲の斜面も天然記念物に指定されています。

車山湿原は霧ヶ峰の自然を守ろうと尽力した方々により、八島ヶ原、踊場湿原とともに1939(昭和14)年に天然記念物に指定されました。
この自然を未来へ残すために何ができるか、訪れる方も霧ヶ峰の自然を楽しみつつ一緒に考えてもらえると嬉しいです。


車山積雪状況・雪の結晶

2023.01.28

例年に比べ少ない積雪ですが、昨日夜から朝にかけて10~20センチ程積雪がありました。
降雪直後、休日の車山周辺には多くの人が足を運んでいました。

車山へむかう登山者たち
<車山山頂へ向かう登山者>
車山湿原の入り口
〈車山湿原の入り口〉

気温は朝9時(センター前)で約−11℃。
太陽は時折出ていましたが、もこもことした暗い雪雲が次々と流れていました。風が吹くと体感温度がぐっと下がるような気象状況でした。

車山山頂と丸い形の大きな雲
<気象レーダードームのある車山山頂>

木々を纏う霧氷は、太陽が時折現れ日が差すと白く輝いていました。
木々の上についた雪は、風で舞い上がり雪煙に…。風が強そうです。

木の枝が白くなる霧氷
<車山北側斜面の霧氷>

雪と言えば、先日、美しい雪の結晶を見つけました。
はらはらと舞う雪が、車のシートに落ちていったのですが、よく見ると、はっきりとした6角形の雪の結晶がたくさん!

黒い布の上に落ちた白い雪の結晶
<雪の結晶>

同じ形のものはないと言われるように、じっくり見ると少しずつ形が違い、夢中になって眺めてしまいました。

雪の結晶
<ビーズのような形の結晶>
雪の結晶
<いろんな形が楽しげです>

溶けていって消えてしまう儚いイメージの結晶ですが、雪の表面をすくってみると綺麗な形の結晶がたくさん残っていました。気温の低い霧ヶ峰ならではかもしれません。

舞い落ちるような雪もあれば、ブリザードと言いたくなるような、強風によって雪が巻き上がる現象もあります。

雪の世界は綺麗なばかりではなく、時には恐ろしさも感じます。
地吹雪によって、周りの景色が一瞬で見えなくなるホワイトアウトは霧ヶ峰(特に車山肩周辺)ではよく起こります。運転時や歩いている時も、周囲の様子に注意を払う必要があります。


さて、今回のブログには冬のヒット曲にちなんだ言葉をちりばめてみました(80年代、90年代、2022年)。雪の世界は表情豊かで良い題材にあふれていますね。

冬の霧ヶ峰にも、感性が刺激される自然がたくさんあります。そんな自然を体感すると、きっと新鮮な感動に出会えるはずです。
安全に気を付けながら楽しんでください。

八島・車山積雪状況とウサギの大跳躍

2023.01.09

新年初のブログです。
2023年もどうぞよろしくお願いします。

昨年末に降った雪は少し溶けていますが、スノートレッキングを楽しめるほどには積もっています。

真っ白な雪原
〈八島ヶ原湿原〉

八島ヶ原湿原は、広場まではスノーブーツだけで歩けますが、木道上は圧雪されているため、チェーンスパイクや軽アイゼンを付けていた方が安心です。
今のところ木道と木道の間には隙間があるので、スノーシューだと少し歩きにくいかもしれません。

この写真を撮影した日は日差しがあり比較的暖かく感じましたが、日中は氷点下を少し上回る位の気温が多いです。

植物はドライフラワー状態になったものも。

丸い形をした植物
<長い茎の先に丸い形>

この植物は、ハバヤマボクチという植物で昨年投稿したブログでも紹介しましたが、開花時期は異彩を放つ見た目をしています。
今の時期は、オレンジ色でふわふわした様子です。温かみがあって、開花している時との違いがまた面白いです。

代わって車山周辺の情報です。晴れた日の休日は車山肩が満車になる程の混雑ぶりです。

駐車場の様子
<車山肩駐車場>

登山道は圧雪されているため、アイゼンでもスノーシューでも歩くことができます。

雪に覆われた登山道
<車山肩から車山湿原へ向かう道>
快晴の空と雪山
<スキー場のコースがある車山>

スキー場も賑わっていて、冬の霧ヶ峰は楽しみ方がたくさんあります。
人だけでなく動物たちも賑やかに活動しているようです。

たくさんの足あと
<たくさんの足あと>

こちらは前回のブログでも紹介したノウサギの足あとです。
あっちにいったりこっちにいったり足あとがたくさん!
別の場所では、こんな足あとも発見しました。

大きな足跡
<大きな足あと>

足あとと足あとの感覚が2~3mほどあり、はじめはニホンジカかと思ったのですが、こちらもノウサギのようでした。ノウサギの体長は50㎝程。凄い跳躍です。
どうしてこんなにジャンプしたのでしょうか。
敵に狙われたから?ではどうしてすぐ隣にも同じ位置に跡があるのでしょうか。
二匹同時にジャンプしたから?
答えは分かりませんが、走るのを練習していたり、遊んだりしていたのかもしれません。
遊びは動物、特に子どもにとっては生きるために必要な要素の一つです。

私たち人間も、楽しく遊ぶ時間を大切にしたいですね。
卯年の2023年、皆さんにとっても跳躍する年でありますように。

霧ヶ峰積雪状況

2022.12.28

寒波の影響でホワイトクリスマスになった霧ヶ峰。
降り積もった雪は、場所によって異なりますが40~60㎝位です。

青空と雪山
〈車山肩から見た車山山頂方面〉
雪に覆われた山々
〈中央右の雪原は八島ヶ原湿原。その奥は鷲ヶ峰〉

車山肩のなだらかなピークからは、白く覆われた八島ヶ原湿原、鷲ヶ峰が見えます。その先に見える北アルプスの山々も真っ白に輝いています。

晴れると照り返しが眩しいので、サングラスは必須です。
雪山では日焼け止めもしていないと真っ黒になってしまいます…。

一面の雪
<車山肩から車山湿原へ下る道>

写真を見てもわかるように、遊歩道脇の杭は雪でほとんど見えません。これくらい積雪があるとツボ足(かんじきなどを付けずに歩くこと)では、膝上まで潜ってしまいます。
車山周辺は積雪量が多いので、スノーシューで歩くのがおススメです。
アイゼンでも歩けますが、踏み跡を外れると雪の下に潜ってしまうので気を付けてください。

冬の時期のコースマップや道路状況、トイレの場所などについては、「冬の霧ヶ峰」のページをご覧ください。こちらにも書いてありますが、霧ヶ峰には冬でも立ち入れない場所があります。

一面雪に覆われた霧ヶ峰
<2022年3月撮影>

この写真は2022年3月に撮影したものです。中央の広い雪原に引き寄せられてしまいそうな地形ですが、中央部分は湿原です。
霧ヶ峰にある3つの湿原は希少な植物が生息する高層湿原で、国の天然記念物に指定されています。
湿原は植物の命を育み、湿原を通じて地中へ浸透した水は地域の水源としても利用されます。

<車山湿原のザゼンソウ>

このため冬でも湿原内へは許可なく立ち入ることはできません。八島ヶ原湿原と車山湿原は
ピンクテープを貼った竹竿を設置していますので、内側へは入らないようお願いします。

湿原内につづく踏み跡
<湿原側(この写真では右側)に足跡が多くついていましたが中には入らないようお願いします>
雪が積もっている駐車場
<12月27日時点の車山肩駐車場>

霧ヶ峰に来られる場合の注意点ですが、冬場は駐車場に停められる台数が限られます。また除雪されていても雪にはまってスタックする方が毎年多くいます。
スタッドレスなど滑り止め以外に、チェーンやスコップが必要な場合がありますので、駐車の際はご注意ください。

最後に、センターの前にこんな足あとがありました。

雪の上に足跡
<雪の上に足跡>

前々回のブログでも紹介しましたが、これは何の動物の足あとでしょう。ヒントは霧ヶ峰の草原で暮らす草食動物。冬場、ササなどの草が雪に埋もれてしまう場合は、樹皮なども食べます。

ほぼ答えになりますが笑、2023年の干支です!

センター周辺にも生息していますが、やはり冬は人や車の動きが少ないためか建物の周辺にも足あとがよく見られます。

さて、2022年も多くの方にブログをご覧いただきありがとうございました。
来年も様々な自然情報をアップしていきますので、来年も是非ご覧ください。

【コース紹介】車山湿原~男女倉山~八島湿原

2022.10.02

10月はじまりの土日は快晴。湿度が低くカラッとしていて空気が澄み高い山々が良く見えます。

青空と山々と草原
〈樺の丘から見た八ヶ岳〉

昨日は、車山肩~車山乗越~北の耳~男女倉山(ゼブラ山)~八島湿原~車山肩を歩いてきました。
秋晴れの中歩くのは気持ちよく、汗をかいても少し冷たい風が乾かしてくれます。
秋は登山するのに良い季節ですね。

出発地点である車山肩からは、車山と蝶々深山に挟まれた車山湿原が見渡せます。

なだらかな山と湿原

全体的にベージュ色に染まっていました。

ベージュと茶色に染まる湿原
<車山湿原>

湿原の周りは木道が整備されていて歩きやすいため、多くの登山者の方とすれ違いました。
ですが、車山乗越(のっこし)から北の耳へ向かう道へ入ると、一挙に歩く人が少なくなります。
このコースを歩くには最低でも4時間近くかかり、途中わずかですが急な斜面もあるため、登山靴や雨具の持参など登山の装備で歩くことをお勧めします。

地図はこちらから→霧ヶ峰散策マップ

こちらのコースの楽しみは、壮大な景観。
北の耳あたりで車山方面を振り返ると広々とした霧ヶ峰の景色に感動するはずです。

広々とした草原景観
<北の耳手前から車山を見る>

まるで日本ではなく外国のトレイルのよう。
(私は歩いたことがありませんが笑)

草原景観を楽しみながら歩いていると、足元からバサバサと音を立てて飛び出してくるものが…。

低木にとまる鳥

ホオアカでした。この個体は目の周りの白いラインがくっきりしていて印象的でした。
そろそろ渡りの季節のため、こうして出会えるのもあとわずかかもしれません。

銀色に輝く山肌
<銀色に輝く山肌>

北の耳を下ったところで八島湿原の方を見下ろすと一面が銀色!
どこまでも果てしなく続くススキの煌めきに驚いてしばらく眺めていましたが、景色を独り占めしたような気分になります。

緩やかなアップダウンを繰り返しながら進み、男女倉山から八島湿原へと下りてくると、こちらも草紅葉が見ごろとなっていました。
車山湿原と比べると全体的に深みのある橙色をしています。

橙色に色づくシダ植物
ススキと湿原

穏やかな気候の中、明るいススキの穂や紅葉を眺めているとのんびりとした気持ちになりますね。

最後に、秋に歩く際の注意点は夏と比べて日が落ちるのが早いことです。
10月初頭の場合、日の入りは17時半くらいで16時過ぎには気温が一気に低くなります。
計画的にコースを決めて歩きつつ、秋真っ盛りの霧ヶ峰を楽しんでみてください。

車山湿原のザゼンソウ

2022.04.15

今年は多かった雪。ですがあっという間に解けてだいぶ減ってきました。

雪が残る車山湿原
<車山肩から車山湿原を見下ろす>

この時期に車山湿原に来たのは、この時期に咲く植物の様子を見たかったからです。
何かというと、ザゼンソウ。
霧ヶ峰では雪解け後、真っ先に咲く花です。

雪解けの水に浸るザゼンソウ
<雪解け水に浸るザゼンソウ>

湿原をぐるりと一周すると、西側の方にたくさん見つけました。

小さいザゼンソウがたくさん咲いている
<小さなザゼンソウがいくつも>
ザゼンソウ
<外側の赤い部分は仏炎苞>

ザゼンとは座禅。僧侶や達磨のイメージからつけられた名前のようです。
小人たちの帽子のようにも見え、あちこちで姿をのぞかせていてかわいいです。

自然のものなので仕方ないのですが、どれを見ても内側の花の部分が良く見えず、そっぽを向いているようでした(湿原の中には入れません)。

たくさんあるのになぜ?!とちょっと不思議です。

ザゼンソウが咲いている湿原の表面はポコポコと波打っています。

たくさんのザゼンソウ
<湿原の表面>

車山湿原は高層湿原と呼ばれ、ミズゴケなどの泥炭が厚く積もった特殊な湿原です。
一年に一ミリというわずかな量が積み重なり、また、波打った表面は凸凹を繰り返しながら成長しているといわれます。

車山湿原の正確な年数はわかっていませんが、深いところで約1.5mあるため、長い年月をかけ今の姿になったことが想像されます。
ザゼンソウも春に現れては枯れ、また新たな世代に入れ替わり、ということを何度繰り返してきたのでしょうか。
誰もいない湿原で、ふと、長い時間を感じたような気がしました。

草にとまるノビタキ
<湿原にいたノビタキ>
大空を舞うトビ
<旋回するトビ>

湿原ではノビタキの朗らかなさえずりが響き、周辺ではトビが伸びやかに舞い、気持ちよさそうです。

霧ヶ峰にも春がやってきました。

車山湿原を歩かれる方は、足元が濡れないようにして、静かな春の霧ヶ峰を味わってみてください。

冬に感じるいきものの命

2022.03.13

今日は冬季巡回の最終日でした。
霧ヶ峰の八島ヶ原・踊場・車山湿原は、国の天然記念物として大切に守られており、積雪があっても許可なく立ち入ることはできないため、霧ヶ峰パークボランティアとともに啓発を行っています。
今日巡回した踊場湿原では、柵内にスキーの跡が一部見受けられました。

雪原に入り込むスキーの跡
〈踊場湿原〉

踊場湿原はスキーのメッカとして多くのスキーヤーに利用されていた場所ですが、天然記念物に指定された1939年以降、湿原内に立ち入ることはできません。

しばらく歩いていると、登山道は雪が緩んでいて多くの場所で何度も踏み抜いて大変でした。

人の足跡
<膝上まで踏み抜くことも>
キツネの足あと
<軽々と歩く動物の足あと>

右はキツネの足跡のようですが、体の軽い小動物は雪に埋もれることなくスタスタと歩いている様子が目に浮かびます。
では、二ホンジカのように大型の動物はどうでしょうか。

大きな足跡
<大きな足跡>

これは車山湿原で撮影したニホンジカの足あとです。
雪に深く潜りこんでも軽々と斜面を駆け上がる様子を以前に見たことがありますが、人間には真似できない跳躍です。

たくましい野生動物ですが、この冬は厳しかったようです。
積雪が多かったこの冬、二ホンジカは霧ヶ峰より標高の低い場所で食べるものを探していたようですが、何頭もの個体が息絶えていました。
最近の冬と異なり、厳しい環境下で過ごしていたようです。
しかし、亡骸は他の動物の食糧となり、新たな命につながります。
自然界を間近に見ていると、命の尊さを実感します。

さて、これは何でしょう。

枝からぶら下がったドライフラワー
〈天然のドライフラワー〉

枝からぶら下がっていて、ドライフラワーを飾り付けたような見た目がかわいいです。
リョウブの木ですが、よく見ると枝先には冬芽らしきものがついていました。
暖かくなるころには、このドライフラワーは落ち、芽吹いてくるのでしょう。
季節は知らない間に冬から春へと少しずつ歩みを進めているようです。

車山、ハジメテミルケシキ。

2022.02.04

近況はフェイスブックに載せていたのですが、ブログの更新が滞ってしまい申し訳ありません。
現在霧ヶ峰自然保護センターは閉館中&改修中ですが、展示物を新しくするため工夫を凝らしながら制作に励んでいます。

さて、車山肩~車山山頂~足を延ばして殿城山への分岐~車山肩を歩いてきました。
結果から言うと逆コースの方が歩きやすかったのですが、今回はその様子をお届けします。

雪に埋まる遊歩道
〈車山肩駐車場からスタート〉

出発です!ここにはアスファルトとチェーンがあるのですが、チェーンの埋まり具合で雪の積もり具合が分かります。ほとんど埋まっていますね!

バイオトイレ
〈車山肩のバイオトイレ〉

出発前にお手洗いを…。
車山肩には冬でも使えるバイオトイレがあります。
冬は1つしか使えませんが、毎日清掃の方がきれいに掃除してくださっているトイレです。

ちなみにこの周辺は野生動物のものではないと思われる用を足したあとがよくあります…。

こちらのトイレをお使いください…!

雪に覆われた車山肩周辺
<車山肩から車山山頂方面>

ここしばらく降雪があまりなく、雪質はかなりしっかりと固くなっています。
スノーシューで歩きましたが、今回のコースなら歯がしっかり付いたアイゼンでもよさそうです。

今後積雪がさらにあると、夏道が急斜面になって歩くのが困難になり、直登するルートを上りますが、現在の様子では植物が見えている状態です。植生保護のためにも直登ルートは上らず、夏道を使ってください。

霧ヶ峰全体が真っ白な雪に覆われる
<山頂へ上る途中で振り返る。奥は御嶽山>

絶景が広がります。大地を覆いつくすような真っ白の雪の中、ビーナスラインがくっきりと浮かび上がっています。

写真を撮りながら40分ほどかけて山頂へたどり着くと、

雪に半分覆われた鳥居
<車山神社の鳥居と八ヶ岳>

半分ほど覆いつくされた鳥居!
雪の多さが分かるでしょうか。
ゆっくりと景色を眺めていたいのですが、風が強いので早々と下ることにしました。

スキー場のコース
<スキー場のコース>

車山湿原方面へ行くには、しばらくスキー場のコースをくだります。斜面が急なので、下りではなく上りに使うのがおすすめです。またここを歩くには刃が付いたスノーシュー、あるいはアイゼンが必要です。オレンジのネットより左は吹き溜まりになっていることがあり、こちらを通ると胸まで埋まってしまうことがありますので、滑る人たちと接触しないよう注意しながらコース脇を通ってください。

慎重に下ったあと一息つき、殿城山分岐の辺りまでやってきました。この辺りには雪の上に小さなまるい動物の落し物が20個くらい落ちていました。

雪の上に落ちている丸い小さなフン
<雪の上に・・・>

分かりましたか?ノウサギのフンです。ノウサギはキツネなどから狙われる身ですから、自分の痕跡を残さないよう、自分が休む場所の周りにはたくさんフンをしません。ここではササの葉を食べつつ、用も足しているのでしょうね。

殿城山分岐
<殿城山分岐手前。中央は南の耳>

ノウサギは写真右側に見えているような林に身を隠して過ごしているはずです。

雪原
<車山肩駐車場へ戻る最後の上り>

車山湿原の脇を通りながら最後の上りに差し掛かります。ここは吹き溜まりになって歩きにくいのですが、斜面の緩い方を歩くと、天然記念物の境にしている竹竿の内側に入ってしまいますのでご注意を。

雪原と富士山
<車山肩からの上りの途中。奥が富士山>

今回歩いたコースは、幾度となく歩いた道ですが、この時期に登ったのは初めてでした。
上の写真の場所を歩いていると、脳がハジメテミルケシキ…‼と新鮮な感覚でした。
夏とは一変するこの景色、防寒対策・感染対策をしっかりとって味わってみてくださいね。

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