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記事一覧(月: 2022年7月)

霧ヶ峰の蝶たち

2022.07.26

ニッコウキスゲのピークは過ぎましたが、今まさに花盛りの季節です。
センター前の園地では、シシウドやチダケサシ、ノアザミにヤナギラン、コオニユリ、ツリガネニンジンなど鮮やかな色や形の花々が楽しいです。

花の盛りのこの時期は、蝶や蜂などの昆虫があちこち飛び交い賑やかです。

この時期よく見かけるのは、ヒョウモンチョウの仲間たち。

ノアザミにとまるウラギンヒョウモン
〈ノアザミを吸蜜中〉

こちらはウラギンヒョウモン。
裏(羽を閉じたときに外側になる方)の白い模様が鮮やかです。

個性豊かな蝶たち。

この日歩いて見つけたのは、ジャノメチョウ、ルリシジミ、アサギマダラなど。

ジャノメチョウ
<ジャノメチョウ>
ルリシジミ
<ルリシジミ>
アサギマダラ
<アサギマダラ>

アサギマダラは霧ヶ峰ではヨツバヒヨドリの花の蜜を吸っていることが多いです。

さて、こちらは葉の上に卵が3つあるのですが、どこにあるかわかりますか?

葉についている卵
〈葉っぱの上に1、2、3〉

赤みを帯びているものはもうすぐ羽化する卵。
直径1ミリほどの小さな小さな命です。
この卵はモンキチョウでムラサキツメクサに産み付けられています。
モンキチョウの食草(幼虫が食べる植物)はマメ科の植物ですが、食草は蝶の種類により異なります。

成虫は幼虫が食べる草に卵を産み付けるのですが、成虫は特定の植物を識別する能力を持っているということです。
不思議ですね。
モンキチョウもそうですが、皆さんの身近なところでも観察できるチョウはたくさんいるでしょう。
是非観察してみてください。

最後に、霧ヶ峰で見られる蝶の中には絶滅危惧種も含まれます。
採取せずに「見る」(写真に撮る)だけにしていただくようお願いします。

ニッコウキスゲ開花状況(2022年7月17日)

2022.07.17

3連休2日目の日曜日、霧ヶ峰には多くの観光客の方が訪れました。

渋滞する道路
〈車山肩付近を車山中腹から撮影した様子〉

車山肩周辺の道路は朝から15時過ぎまで渋滞し、写真のように車が列を連ねていました。

明日も混雑が予想されますので、センター周辺や霧ヶ峰スキー場付近、車山高原の駐車場もご利用ください。
(地図はこちらをご覧ください)

ニッコウキスゲの開花状況ですが、見頃は連休明け数日位までとなりそうです。

ニッコウキスゲ群落
<車山肩・ビーナスの丘>

終花したもの、まだ蕾が残っているものと様々ですが、まだつぼみがありましたのでもうしばらく楽しめそうです。

ニッコウキスゲの群落の中には、オオバギボウシ、ツリガネニンジンなどの花々も咲き、天空のお花畑と言いたくなる光景が広がっていました。

橙色と白のお花畑
<車山肩・ビーナスの丘>
オオバギボウシ
<オオバギボウシ>
ツリガネニンジン
<ツリガネニンジン>

下の写真は車山高原と富士見台の様子です。

ニッコウキスゲ群落
<車山高原(車山東側の斜面上部>
ニッコウキスゲ群落
<富士見台(撮影は車山中腹から)>

夏真っ盛りですが最近は天候が不安定ですので、雨具や防水性の靴などを用意したうえで霧ヶ峰の自然を満喫してください。
最後にここ5日間の気温(センター観測)です。

最高気温最低気温
13日21.2℃14.1℃
14日21.8℃15.5℃
15日19.5℃14.5℃
16日18.4℃13.8℃
17日18.5℃15.6℃

7月初旬に比べて過ごしやすい陽気が続いています。
風が冷たいときや日差しが強いときのため、長袖の上着もお持ちください。

モズの独り立ち

2022.07.11

昨年、遊歩道を歩いているときにモズの巣を見つけました。

親鳥はピョンっと巣の中に入り抱卵中のようだったので、刺激してはいけないと思い、その場をすぐに立ち去りました。

木の枝の中にある巣
〈写真は今年撮影したもので巣は崩れていました〉

モズは昆虫類の他、ネズミや小鳥なども捕えるため小さな猛禽類とも言われます。

モズ♂
<電気柵に乗っているモズ♂>

実際、鉤状のくちばしは小さいながらもとても鋭利になっていることがわかります。
オスは目の周りに黒い過眼線があるため目つきが鋭く見えますが、メスは過眼線が茶色っぽく柔らかい印象です。

モズ♀
<八島ヶ原湿原にいたモズ>

そんなモズですが、霧ヶ峰のとある場所で営巣をしていました。
親鳥が勢いよく入っていくのはバラの茂みの中。
鳥の卵は、ヘビやカラスさらに霧ヶ峰ではカッコウなど、様々な動物に狙われています。

梢にとまるカッコウ
<カッコウはノビタキやモズといった鳥たちの巣に卵を産み、仮親に子育てを任せます>

カッコウに托卵された場合、モズが産んだ卵は、先に孵るカッコウのヒナが巣から全て落としてしまいます。

棘だらけの茂みの中に作れば、鳥は入りにくそうです。
「考えたなぁ」と思い様子を見守っていました。

幼鳥が出てくるを楽しみにしていた矢先、ショックな出来事がありました。

茂みのそばで見つけたのは幼鳥らしき亡骸…。
何が起きたかはわかりませんが、無事に大人になるものは多くないのだと感じました。

・・・そんなある日別の場所でモズの幼鳥を見つけました。

まだ幼い印象ですが目つきはキリっと凛々しいです。

モズ幼鳥
モズ幼鳥
<モズの幼鳥>

大人になれなかったもの、これから成長し、そして新たな命を紡ぐもの。
どちらも精一杯生きたことに変わりなく、最後には自然に還ります。

霧ヶ峰を歩いて自然を見ていると、日々多くの命がめぐっていることを実感します。

ニッコウキスゲ開花状況(2022年7月7日)

2022.07.07

霧ヶ峰全域でニッコウキスゲが見頃を迎えています。

ニッコウキスゲ橙色の群落
〈車山肩〉
ニッコウキスゲ群落
<富士見台>

霧ヶ峰で現在ニッコウキスゲがまとまって見られるのは、防鹿柵で囲まれている八島ヶ原湿原、霧ヶ峰自然保護センター周辺、車山肩、富士見台、車山高原です。

ニッコウキスゲ見られる場所
<ニッコウキスゲの群落が見られるのは防鹿柵の中です>

この見頃は1週間から10日ほど続きそうです。

花盛りの季節。八島ヶ原湿原で様々な花が目を楽しませてくれます。

紫に黄色のラインが入ったノハナショウブ
<ノハナショウブ>
紫色のノアザミ
<ノアザミ>
白いオオカサモチ
<オオカサモチ>

昆虫たちもいつの間にか増えてきました。

オオカサモチに集まる虫
<オオカサモチにはあちこちで吸蜜中の虫たちがいました>

センター周辺ではヒョウモンチョウやシジミチョウの仲間が増えてきました。

自然の移り変わりのスピードに置いて行かれないよう観察しつつ、今後も自然情報をお伝えしていきます。

ニッコウキスゲ開花状況(2022年7月5日)

2022.07.05

6月下旬から咲き始めたニッコウキスゲですが、早くも見頃を迎えてきています。

オレンジ色のニッコウキスゲ群落
<車山肩ビーナスの丘>

今年は開花が一気に進んだためか橙色の群落が見事です。
ぐんぐん成長して丈がいつもより長い印象です。

霧ヶ峰の各地点でのニッコウキスゲの咲き具合です。
・八島ヶ原湿原…4割
・霧ヶ峰自然保護センター周辺…4割
・車山肩…3~4割
・富士見台…4割
・車山高原…見頃

八島湿原
〈八島ヶ原湿原〉
センター周辺
<自然保護センター周辺園地>
車山肩
<車山肩>
富士見台
<富士見台>

小さな蕾はまだたくさんありますので7月中旬頃でも楽しめそうです。

このあとの雨・風の影響が少ないことを祈ります。
さらに、車山肩S字カーブ付近に3年前に設置した電気柵の中にも、30~40株ほど開花しているのを確認し感動しました。この電気柵はニホンジカの食害から守るため設置しています。
牧野共同農業組合の方々が中心となり草刈りを行ったのですが、日が当たりやすい環境になったことで花が咲くようになってきたのでしょう。

人間は自然のすべてをコントロールすることはできませんが、人が手を入れることは必要なのだと感じます。

ほんの十数年前までは一面がニッコウキスゲの橙色に囲まれていた霧ヶ峰。
昔を知る方からは当時を惜しむ声も聞かれますが、今年のニッコウキスゲはかつての様子が少し蘇ってくるようです。

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