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記事一覧(カテゴリ: 開花状況)

イタチと水たまり

2022.09.08

八島湿原では今、サラシナショウマやエゾリンドウ、アキノキリンソウなどが見頃です。

斜面に咲くサラシナショウマ
〈広場から右側に進んだ斜面に生えるサラシナショウマ〉

花穂が試験管を洗う白いブラシのような見た目で、風に揺れるとユラユラします。
サラシナショウマに顔を近づけると、甘い香りが。
匂いの感じ方は人によって違いますね。皆さんはどう感じるでしょうか。

歩いていると個性的な見た目の植物が目につきます。

すらりと伸びた茎
<高さは1メートル以上>

イガグリのようなトゲトゲがいくつも茎の先に付いていて、中央が開くと目玉のような姿。花はアザミに似ています。

開きはじめ
<開花しはじめ>
開花
<中央が開き開花します>

個性的な見た目で、霧ヶ峰関係者にもファンの多い(!?)ハバヤマボクチです。
名前も面白いですね。

ハバヤマとは葉場山で、草刈り場のことを指し、ボクチとは火口、つまり火種を意味するそうです。
ハバヤマボクチの葉の裏側には綿毛がついていて、火を移しとるための火種として使っていたと言われます。
草刈り場として利用されてきた霧ヶ峰に相応しい植物ですね。
よく見るとトゲトゲ(総苞片)の間にも白い綿(クモ毛)がついていますが、いったい何のためについているのでしょう。
不思議です。

さて、木道を過ぎて砂利道のところで、焦げ茶色のなにかを見つけました。

道端に何やら…
<道端に何かいる…!>

微動だにしなかったので、はじめは木の一部に見えましたが少し様子が違います。
カメラを向けてみると、なんとイタチでした。
霧ヶ峰で明るい時間にイタチを見たのは初めてでしたが、興奮を抑えつつ撮影しました。

イタチ
<イタチ>

夏毛で全体的に黒く、脚から頭までが長くヒョロッとしています。
長年出会いたかった動物に、突然出会えてとても嬉しい出来事でした。

さて、目の前には小さな水たまり…。
今年の9月は雨が多く、こんな水たまりがあちこちにできています。

イタチと水たまり
<イタチと水たまり>

イタチは、こちらの様子を気にしつつ、目の前にある水たまりの水を飲み始めました。
人がいても、水たまりの水でも、気にならないどころか、どうしても水を飲みたいように見えました。

水が必要なのは野生の生きものだけではありません。

霧ヶ峰の大地に浸みこむ水は、諏訪の人々が使う水源の一部となり、伏流水は諏訪の地酒にも利用されています。

多くの生きものの生命を支える水が、霧ヶ峰にあります。

秋風にゆれるススキと花々

2022.08.28

吹き抜ける風が少し冷たく感じられるようになってきました。
また、草原を彩っていた花々は秋の草花に入れ替わっています。

ゴマナ
<ゴマナ>
細い茎に紫色の蕾
<ヤマラッキョウの蕾>

園地ではアキノキリンソウがまとまって咲いていて、茎の先に集まった小さな黄色い花々が鮮やかです。

黄色と赤紫の花
<黄色いアキノキリンソウと赤紫色のマルバハギ>

他にはツクバトリカブトの紫色も草原で目立ちます。

ツクバトリカブト
<園地に咲くツクバトリカブト>

さて、センター周辺は今ススキが一面に広がっています。

一面に広がるススキ原
<風になびくススキ>

皆さんはススキの花を見たことがあるでしょうか。

ススキの穂に黄色いものがついている
<ススキ>

近寄ってよく見ると穂にクリーム色の小さな粒がぶら下がっています。
この部分が雄しべです。
ふわふわの綿毛の印象が強いススキですが、かわいらしい花の姿も是非見てみてください。

このススキは、人々が古来から利用してきた植物です。
何に使ったかといえば、別名の「カヤ」と言えば想像がつくでしょうか。
ススキは茅葺屋根の材料などに使われ、刈るための場所は茅場と呼ばれ利用されてきました。

先日ボランティアの方から、「子供の頃に親がススキ刈りをするのに一緒に来た」というお話を伺いました。
霧ヶ峰は地元の人たちにとっては生活の場でもあったのです。

ススキの穂
<ススキの穂>

古くからススキを利用してきた歴史からか、自分自身が子どもの頃から見慣れた植物だからか分かりませんが、ススキ原を見ていると懐かしい気持ちになります。

これから穂が開き、9~10月には一面が銀色に輝きキラキラと美しいです。
人出の少ない時期、ゆっくり景色を楽しんでみてください。

園地のヤナギランとボランティア体験

2022.08.08

ニッコウキスゲが咲き終わり、霧ヶ峰は夏の後半に咲く植物が増えてきました。
今年は全体的に開花が早い傾向で、ヤナギランもすでに見ごろとなっています。

ピンク色のヤナギランの群生
〈ヤナギラン。センター前の園地にて。左上は滑空しているグライダー〉
ヤナギラン
<下から順番に咲いていきます。上は蕾、下は既に咲き終わり種を作る準備中>

濃いピンク色が鮮やかです。
園地(センターから徒歩5分くらいの場所です)で咲いていますので是非散策してみてください。

マツムシソウも電気柵の周辺で咲いていますが、今年は少し花数が少なめのようです。

マツムシソウ
<マツムシソウ>

薄紫色の花が涼しげで可憐なお花ですね。先日車山山頂の岩場でも見かけました。

さて、園地で咲いている植物には花の名前が分かるよう札がついていますが、こちらは霧ヶ峰パークボランティアの皆さんが取り付けています。

ハンゴンソウ
<ハンゴンソウ>

普段は大人だけで行っている作業ですが、8月6日は中学生と一緒に作業しました。
将来を担う子どもたちに霧ヶ峰の自然を知ってもらい、霧ヶ峰での活動を体験してほしい、というセンターの思いから、諏訪市社会福祉協議会の活動の一環として行いました。

花の名札を取り付ける作業
<作業を行っているところ>

杭を打ち込んだり、名札を取り付けたり…。
率先して作業を行ってくれてとても頼もしい子どもたちでした。
最後に感想を聞くと、植物に興味を持ってくれたことがわかり嬉しく思いました。

活動を通して、霧ヶ峰の豊かな自然を知り、人と人との気持ちが繋がることを願っています。

次回は11日にゴミ拾いなどの巡回活動を行う予定です。
見かけたら優しく声をかけてくださいね。

霧ヶ峰の蝶たち

2022.07.26

ニッコウキスゲのピークは過ぎましたが、今まさに花盛りの季節です。
センター前の園地では、シシウドやチダケサシ、ノアザミにヤナギラン、コオニユリ、ツリガネニンジンなど鮮やかな色や形の花々が楽しいです。

花の盛りのこの時期は、蝶や蜂などの昆虫があちこち飛び交い賑やかです。

この時期よく見かけるのは、ヒョウモンチョウの仲間たち。

ノアザミにとまるウラギンヒョウモン
〈ノアザミを吸蜜中〉

こちらはウラギンヒョウモン。
裏(羽を閉じたときに外側になる方)の白い模様が鮮やかです。

個性豊かな蝶たち。

この日歩いて見つけたのは、ジャノメチョウ、ルリシジミ、アサギマダラなど。

ジャノメチョウ
<ジャノメチョウ>
ルリシジミ
<ルリシジミ>
アサギマダラ
<アサギマダラ>

アサギマダラは霧ヶ峰ではヨツバヒヨドリの花の蜜を吸っていることが多いです。

さて、こちらは葉の上に卵が3つあるのですが、どこにあるかわかりますか?

葉についている卵
〈葉っぱの上に1、2、3〉

赤みを帯びているものはもうすぐ羽化する卵。
直径1ミリほどの小さな小さな命です。
この卵はモンキチョウでムラサキツメクサに産み付けられています。
モンキチョウの食草(幼虫が食べる植物)はマメ科の植物ですが、食草は蝶の種類により異なります。

成虫は幼虫が食べる草に卵を産み付けるのですが、成虫は特定の植物を識別する能力を持っているということです。
不思議ですね。
モンキチョウもそうですが、皆さんの身近なところでも観察できるチョウはたくさんいるでしょう。
是非観察してみてください。

最後に、霧ヶ峰で見られる蝶の中には絶滅危惧種も含まれます。
採取せずに「見る」(写真に撮る)だけにしていただくようお願いします。

ニッコウキスゲ開花状況(2022年7月17日)

2022.07.17

3連休2日目の日曜日、霧ヶ峰には多くの観光客の方が訪れました。

渋滞する道路
〈車山肩付近を車山中腹から撮影した様子〉

車山肩周辺の道路は朝から15時過ぎまで渋滞し、写真のように車が列を連ねていました。

明日も混雑が予想されますので、センター周辺や霧ヶ峰スキー場付近、車山高原の駐車場もご利用ください。
(地図はこちらをご覧ください)

ニッコウキスゲの開花状況ですが、見頃は連休明け数日位までとなりそうです。

ニッコウキスゲ群落
<車山肩・ビーナスの丘>

終花したもの、まだ蕾が残っているものと様々ですが、まだつぼみがありましたのでもうしばらく楽しめそうです。

ニッコウキスゲの群落の中には、オオバギボウシ、ツリガネニンジンなどの花々も咲き、天空のお花畑と言いたくなる光景が広がっていました。

橙色と白のお花畑
<車山肩・ビーナスの丘>
オオバギボウシ
<オオバギボウシ>
ツリガネニンジン
<ツリガネニンジン>

下の写真は車山高原と富士見台の様子です。

ニッコウキスゲ群落
<車山高原(車山東側の斜面上部>
ニッコウキスゲ群落
<富士見台(撮影は車山中腹から)>

夏真っ盛りですが最近は天候が不安定ですので、雨具や防水性の靴などを用意したうえで霧ヶ峰の自然を満喫してください。
最後にここ5日間の気温(センター観測)です。

最高気温最低気温
13日21.2℃14.1℃
14日21.8℃15.5℃
15日19.5℃14.5℃
16日18.4℃13.8℃
17日18.5℃15.6℃

7月初旬に比べて過ごしやすい陽気が続いています。
風が冷たいときや日差しが強いときのため、長袖の上着もお持ちください。

ニッコウキスゲ開花状況(2022年7月7日)

2022.07.07

霧ヶ峰全域でニッコウキスゲが見頃を迎えています。

ニッコウキスゲ橙色の群落
〈車山肩〉
ニッコウキスゲ群落
<富士見台>

霧ヶ峰で現在ニッコウキスゲがまとまって見られるのは、防鹿柵で囲まれている八島ヶ原湿原、霧ヶ峰自然保護センター周辺、車山肩、富士見台、車山高原です。

ニッコウキスゲ見られる場所
<ニッコウキスゲの群落が見られるのは防鹿柵の中です>

この見頃は1週間から10日ほど続きそうです。

花盛りの季節。八島ヶ原湿原で様々な花が目を楽しませてくれます。

紫に黄色のラインが入ったノハナショウブ
<ノハナショウブ>
紫色のノアザミ
<ノアザミ>
白いオオカサモチ
<オオカサモチ>

昆虫たちもいつの間にか増えてきました。

オオカサモチに集まる虫
<オオカサモチにはあちこちで吸蜜中の虫たちがいました>

センター周辺ではヒョウモンチョウやシジミチョウの仲間が増えてきました。

自然の移り変わりのスピードに置いて行かれないよう観察しつつ、今後も自然情報をお伝えしていきます。

ニッコウキスゲ開花状況(2022年7月5日)

2022.07.05

6月下旬から咲き始めたニッコウキスゲですが、早くも見頃を迎えてきています。

オレンジ色のニッコウキスゲ群落
<車山肩ビーナスの丘>

今年は開花が一気に進んだためか橙色の群落が見事です。
ぐんぐん成長して丈がいつもより長い印象です。

霧ヶ峰の各地点でのニッコウキスゲの咲き具合です。
・八島ヶ原湿原…4割
・霧ヶ峰自然保護センター周辺…4割
・車山肩…3~4割
・富士見台…4割
・車山高原…見頃

八島湿原
〈八島ヶ原湿原〉
センター周辺
<自然保護センター周辺園地>
車山肩
<車山肩>
富士見台
<富士見台>

小さな蕾はまだたくさんありますので7月中旬頃でも楽しめそうです。

このあとの雨・風の影響が少ないことを祈ります。
さらに、車山肩S字カーブ付近に3年前に設置した電気柵の中にも、30~40株ほど開花しているのを確認し感動しました。この電気柵はニホンジカの食害から守るため設置しています。
牧野共同農業組合の方々が中心となり草刈りを行ったのですが、日が当たりやすい環境になったことで花が咲くようになってきたのでしょう。

人間は自然のすべてをコントロールすることはできませんが、人が手を入れることは必要なのだと感じます。

ほんの十数年前までは一面がニッコウキスゲの橙色に囲まれていた霧ヶ峰。
昔を知る方からは当時を惜しむ声も聞かれますが、今年のニッコウキスゲはかつての様子が少し蘇ってくるようです。

ニッコウキスゲ開花状況(2022年6月30日)

2022.06.30

ニッコウキスゲのお問い合わせが多くなってきました。ここ数年早く開花する傾向ではありましたが、今年はその中でも早い開花を迎えています。

園地のニッコウキスゲ
<霧ヶ峰自然保護センター近くの園地電気柵内>

ニッコウキスゲの花がポツポツと目立ってきました。

八島湿原広場近くのニッコウキスゲ
<八島湿原広場近く>
車山肩ビーナスの丘のニッコウキスゲ
<車山肩ビーナスの丘周辺>

ビーナスの丘周辺レンゲツツジとのコラボ
<ビーナスの丘周辺ではレンゲツツジとのコラボも見られました>
車山肩周辺の蕾の様子
<蕾の数もたくさん見られます>
富士見台のニッコウキスゲ
<富士見台でも黄色が目立ってきました>

車山スキー場のニッコウキスゲ
<車山スキー場付近、花数が多くなってきました>

今後の天候次第で開花の進み具合は変わりますので、ピークを予想することは難しいです。
また、一番良い時期をと皆さまが集中されますと、駐車できずにご覧いただけなかったということもあります。
ゆっくり楽しむには少し日にちをずらしてお出掛けになるのが良いのではと思います。

今年のニッコウキスゲは?

2022.06.26

先日までまだ咲いていると思ったレンゲツツジですが、
ここ数日の強風であっという間に花が落ちてしましました。

かと思えば早くもニッコウキスゲがポツポツと咲きだしていました。
センター前の園地では、ここ数年6月末に開花を確認していましたが、今年は6月20日頃に開花を確認しました。

草原に咲くニッコウキスゲ
〈センター前の園地で〉

ニッコウキスゲの見頃は例年7月中旬頃。
見頃は年によって異なりますが、気温の高い日が続けば今年は7月上旬に見ごろになるかもしれません。

ニッコウキスゲと小さな虫
<ニッコウキスゲ>

ちなみに、この写真のニッコウキスゲの茎に白いものがついていますが何だと思いますか?

実は、これはアブラムシの一種でキスゲフクレアブラムシといい、ニッコウキスゲから出る汁を吸って生きています。
小さな虫が集まった様子に、ゾワゾワと感じる人もいるかもしれません。
ぎっしりと「密」状態であまり動きがありませんが、窮屈に感じないのでしょうか…。
ですが、たまに歩いている姿を見かけることがあり、一列になってちょこちょこと歩く様子は面白いです。

ニッコウキスゲ以外にもいつの間にかさまざまな植物が開花していました。

アヤメの株
<アヤメ>

アヤメ、イブキトラノオ、キバナノヤマオダマキなど。

白くて細長いイブキトラノオ
<イブキトラノオ>
キバナノヤマオダマキ
<キバナノヤマオダマキ>

キバナノヤマオダマキは毎朝確認する百葉箱の下に咲いていました。
咲いてみないと気付かない花がいくつもあります。
日々植物の変化が楽しめる季節です。是非ゆっくり散策してみてください。

レンゲツツジ開花状況(2022年6月16日)

2022.06.17

例年並みの場所と例年よりは少ない場所とありますが、霧ヶ峰全域でレンゲツツジがほぼ見頃をむかえています。

霧ヶ峰の各地点でのレンゲツツジの咲き具合です。
・車山高原…見頃すぎ
・伊那丸富士見台…見頃すぎ
・富士見台…見頃すぎ(蕾は少な目)
・踊場湿原…見頃すぎ
・霧ヶ峰自然保護センター周辺…見頃
・八島ヶ原湿原…見頃
・車山肩…見頃
・車山湿原…見頃(蕾は少なめ)

踊場湿原の南側遊歩道付近
<踊場湿原の南側遊歩道付近>
踊場湿原内
<踊場湿原内>

踊場湿原ではピークは少し過ぎましたが、まだ楽しめます。

車山肩周辺から車山湿原にかけては、蕾が少なかったのですがすでに開花しています。コバイケイソウも咲き始めましたが、今年は少なめの開花のようです。

咲き始めたコバイケイソウ
<咲き始めたコバイケイソウ>
車山湿原のレンゲツツジ
<車山湿原のレンゲツツジ>

車山肩から車山湿原周辺のレンゲツツジは少ないのですが、今年の中では見頃と判断しました。
レンゲツツジの花芽が少ない理由ははっきりとはわかりませんが、積雪がかなり少なかった年が何年か続き、厳しい寒さによって木が傷んだことが原因のひとつかもしれません(雪の中は外よりも温度が高いのです)。それでも葉をつけているので完全に枯れてしまったわけではありません。

さて、センター近くの園地のレンゲツツジはここ数年の中では花数が多い印象です。

レンゲツツジの群生
<センター前園地のレンゲツツジ>
レンゲツツジ
<園地のレンゲツツジ>

レンゲツツジは後1週間位楽しめそうです。
これから初夏に向かって高原はさらに賑やかになっていきます。

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