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記事一覧(月: 2021年8月)

夏と秋と晴れと雨

2021.08.21

お盆を過ぎ、吹く風も景色も秋らしい様子に変わってきました。
ここ1週間の最高気温は、16~22℃で20℃以下の日が多く、一枚上着が必要な気温です。

先日までの大雨の影響を確認するため、車山から八島ヶ原湿原周辺の登山道を歩いてきました。
詳しくはお知らせのページに載せましたが、ぬかるんでいるところが多いので防水性のトレッキングシューズや泥除けのスパッツ等があると良いです。

水に浸かった遊歩道
〈八島湿原から物見岩に向かう道〉

昨日は晴れ間があり、風が無いときは夏のような暑さを感じましたが、風は冷たく、雨が降ったり止んだりの不安定な天候でした。

草原と青空
〈蝶々深山からみた景色〉
山に霧がかかる
〈車山にかかる霧〉

さて、植物も秋の花々に様変わりしています。
車山乗越から南の耳あたりではウメバチソウが咲いていました。

ウメバチソウ
〈ウメバチソウ〉

真っ白で端正な形の花が可愛らしいですが、蕾は真ん丸でこれもまた可愛らしいです。
歩きながら蕾をたくさん見つけました。

ウメバチソウの蕾
〈ウメバチソウの蕾〉

あちこちで咲いているのはアキノキリンソウ。

黄色いアキノキリンソウ
〈アキノキリンソウ〉

その名の通り、秋に咲くキク科の植物です。
こちらのアキノキリンソウはカラマツの幼木の間から茎をのばしていましたが、3つ揃った様子が3兄弟のよう。

変わってこちらは八島ヶ原湿原の鎌ヶ池。

湿原の様子
〈鎌ヶ池〉

写真では伝わりにくいのですが、黄色、赤、青紫、白。木道から湿原を見ると、様々な色が点在しています。
私には印象派の絵画を眺めているように思えました。
よく見ると、青紫の花はサワギキョウ。昆虫たちが集まっていますね。

サワギキョウ
〈サワギキョウ〉

白い花はイワショウブ。

イワショウブ
〈イワショウブ〉

双眼鏡があると良く見えますが、遠目から眺めるだけでも十分に楽しめます。

新型コロナ感染症の影響で外出を自粛されている方も多くいらっしゃると思いますが、写真で霧ヶ峰の様子をお楽しみいただけると幸いです。
早く自由に外出でき、霧ヶ峰の空気や景色を直に感じられる日が来ることを願っています。

雨の中いきものたちは…

2021.08.18

全国各地で激しい雨が降り続き、長野県内でも土砂災害が発生しました。
被災された方ならびにそのご家族の方に心よりお見舞い申し上げます。

霧ヶ峰周辺の道路でも一部通行止めになっているところがあります。
詳しくはお知らせのページでご確認ください。

この雨の中、植物や動物たちはどうしているのだろうと気になり、雨が落ち着いた頃に、センター前の園地の様子を見に行ってきました。

センターを出たところでノビタキの幼鳥に遭遇。

歩道を歩く鳥
〈ノビタキの幼鳥〉

歩道の上で虫を捕まえたり、プリっ(?)としていたり(写真のノビタキの足元を見てください…)しましたが、こちらに気が付くと慌てて飛んでいきました。
人影がなかったので、あまり周りを気にせず行動していたのかもしれません。

園地へ行くと、草原はいつの間にか秋色になってきていました。

草原
〈センター前の園地〉

揺れるススキの穂、アキノキリンソウ、ハンゴンソウ。

黄色い花
〈アキノキリンソウ〉
ハンゴンソウ
〈ハンゴンソウ〉

今年多く咲いたヤナギラン。
背が高いので風雨で倒れたものもありましたが、それでもたくさんの花を咲かせていました。

ヤナギラン
〈ヤナギラン〉
ヤナギラン
〈紅葉しているヤナギランの葉〉

マツムシソウもまだ綺麗に咲いているものが多くあります。

薄紫色の花
〈マツムシソウ〉

野鳥はノビタキの他にホオアカの姿も。

木に止まるホオアカ
〈虫をくわえるホオアカ〉

虫をくわえて、表情はきりりと凛々しいです。
自然界で生きる動物たちは、雨の中でも自分たちや子ども達が食べるものを探さなければなりません。
野生で生きる逞しさを感じました。

最後に…、今日の夕方にいっとき青空が見えました。
久しぶりの空の明るさが目に眩しかったです。

青空と植物
〈青空とシシウド〉

気持ちのいい晴れの日が恋しい毎日です。

秋を感じる八島湿原

2021.08.10

今日は温帯性低気圧に変わった台風の影響か、風が少しあり湿った空気が感じられます。

木道
〈八島ヶ原湿原〉

八島ヶ原湿原には少し霧がかかりしっとりとしています。
ノリウツギは梅雨時期に咲いていましたが、またあちこちで開花しています。

ノリウツギと八島ヶ池
〈八島ヶ池とノリウツギ〉

湿原内はすでに秋の気配が漂っています。
オミナエシは秋の七草のひとつですし、種を付けている植物も多いです。

オミナエシ
〈オミナエシ〉
シシウド
〈種を付けたシシウド〉

シシウドはパラパラとした紫色の種が綺麗なのですが、あれ?種の上に何か虫がいます。
どこにいるか分かりますか?

シシウドの種のアップ
〈紫色の種〉

これです。キアゲハの幼虫ですね(ピントが合っていなくてすみません)。

鮮やかな芋虫
〈キアゲハの幼虫〉

霧ヶ峰ではシシウドやノダケなどの植物を食草とし、よく見かけます。
幼虫を眺めてみるとオレンジや黒が目立って見えますが、遠目から見ると意外と気が付きません。
鳥などに狙われやすい虫にとっての戦略なのでしょう。

さて、植物たちは生きるためにどんな戦略があるのでしょう。

ヤナギランの花
〈ヤナギラン〉

このヤナギラン、はじめは雄しべがある雄花で、雄しべがしおれてくると白い雌しべが出てきます。
自家受粉を防ぐための工夫なのでしょう。
花によって、雄花雌花が別々にあるもの、雄花が雌花に変化するものなど様々です。
植物の仕組みは面白いです。

木道近くのヤナギラン
〈木道沿いのヤナギラン〉

このヤナギランは背の高い花ですが、強風で倒れてしまっていました。
折れていなければ日差し共に復活するでしょう。

花々を見ていると盛夏を過ぎた印象ですが、一つ一つの花を見ているといろんな発見があり面白いです。
ぜひゆっくり散策してみてください。

マツムシソウとアカバナシモツケ

2021.08.04

今日のセンター周辺の気温は22℃位と過ごしやすい陽気でした。
ただ日差しは強いので、歩いていると汗ばむ陽気です。

青空と雲
〈センター前の園地にて〉

前回のブログに引き続き、自然保護センターの道を挟んで向かい側にある園地に咲く花々をご紹介します。

ビーナスラインを走っていても目に留まる鮮やかな花はヤナギラン。

ヤナギラン
〈ヤナギラン〉

早くも秋の訪れを感じさせる薄紫色の花、マツムシソウ。

マツムシソウ
〈マツムシソウ〉
マツムシソウの群生
〈センター側の電気柵沿いに咲いています〉

濃い橙色と黒い斑点が印象的なコオニユリ。

コオニユリ
〈コオニユリ〉

色鮮やかな花々が草原を彩っています。

こちらはアカバナシモツケ。

アカバナシモツケ
〈アカバナシモツケ〉

アカバナシモツケソウともいいます。
霧ヶ峰にはいくつかシモツケと名の付く花が咲きますが、木本であるシモツケと異なり草本です。
花がフワフワとした様子が花火のようで夏にピッタリ。

このアカバナシモツケは樹叢の近くに咲いていたのですが、ここしばらくは見られなかった場所です。
令和元年に、電気柵の範囲をビーナスライン沿い周辺からゴマ石山あたりまで広げた効果によるものと思われます。
ちなみにすぐ近くに咲いているアカバナシモツケは金網で囲まれています。

フェンスの中で咲くアカバナシモツケ
〈フェンスの中で咲くアカバナシモツケ〉

こちらは電気柵を設置する以前(10年以上前)に設置したもので、アカバナシモツケはセンター周辺では近年この柵の中でしか見られませんでした。

電気柵を設置した理由としては、観光資源であるニッコウキスゲを二ホンジカの食害から守ることが第一ですが、ニッコウキスゲだけではなく、その他の植物も以前のような姿が戻ってきています。
ヤナギランやマツムシソウもその一つです。
また、草原性の植物を食草とする虫たちを守ることにも繋がっています。

明治の歌人長塚節(ながつかたかし)は、諏訪出身の歌人島木赤彦(しまきあかひこ)と共に霧ヶ峰を訪れ、こんな句を読んでいます。

「うれしくも分けこしものかはろばろに松虫草の咲きつづく山」

広々とした草原に花々が咲く光景は、開放的で訪れた人の心を和ませてくれます。

この草原をこれからも守っていくため、私たちに何ができるでしょうか。

園地に咲く花々

2021.08.01

夏の霧ヶ峰を代表する花ニッコウキスゲの見頃は過ぎましたが、今の時期は数多くの植物が開花しています。

先日ガイドウォーク中に園地を歩いていると、お客様に「これは何ですか?」と尋ねれられました。
蕾ですが、何か分かりますか。

植物の蕾
〈とある植物の蕾〉

数日後に訪れてみると開花が進んでいました。

膨らんだ蕾
〈膨らんだ蕾〉

ホタルブクロです。
このホタルブクロは、ホタルブクロの変種でヤマホタルブクロといいます。
下の写真のように、がくの一部にポコっと盛り上がっている部分があるのが特徴です。

ヤマホタルブクロのがく
〈がくの一部が盛り上がっている〉

今園地で多く咲いているのはハナチダケサシ。
草原でフワフワとした花の群落を見ていると穏やかな気持ちになります。

ハナチダケサシ
〈ハナチダケサシの群生〉

他にはヤナギランも咲いています。

ヤナギラン
〈ヤナギラン〉

この花は下から順に咲いていきます。
濃いピンク色が鮮やかな花です。

ピンクといえばエゾカワラナデシコも。

エゾカワラナデシコ
〈エゾカワラナデシコ〉

細かな切れ込みが繊細で美しいです。

この花も小さな花が繊細ですが、何か分かるでしょうか。

白い花が集まっている
〈白い花のアップ〉
シシウド
〈シシウド〉

シシウドですね。
大型の植物で高さは2メートルを超えるものもあります。
小さな花が集って大輪の花を咲かせています。

遠くから見ると大型の植物が目につきますが、歩いて見ると様々な植物に出会えます。
遠くから、近くから。
是非いろんな角度から景色を眺めてみてください。

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