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レンゲツツジ開花情報【2023年6月2日】

2023.06.03

踊場湿原でレンゲツツジが開花しました。レンゲツツジは標高1,500mあたりで咲くツツジ科の落葉低木で、日当たりの良い草原に自生しています。

朱色のレンゲツツジと山並み
〈踊場湿原南側の丘のレンゲツツジ〉

踊場湿原では、例年6月に入ってから開花することが多いのですが、気候の変動で年々早まっている印象です。昨年は5月末にだいぶ開花していたので、それよりは遅いのですが、例年という表現が難しい今日この頃…。
植物たちは気候に合わせて成長しているのにすぎませんが、動植物の動きを敏感に感じることで、人間は季節を実感しているのだと思わされます。

お問い合わせの多いレンゲツツジですが、現在は白樺湖周辺で見頃で、霧ヶ峰全域で見ごろになるのは、6月中旬以降となりそうです。センター周辺のものはまだ蕾のため、開花するのは1週間程先になりそうです。

さて、踊場湿原ではレンゲツツジの他、木々の緑と白い花たちが瑞々しいです。

駐車場近くやレンゲツツジ群生地の南側の丘で咲いていたのは、キンギンボク

白い細長い花を咲かせる
<細長い花弁が特徴>

スイカズラ科の落葉低木で、花の咲き始めは白く、その後黄色が混在することが名前の由来だとか。
別名はヒョウタンボク。こちらの名前は、真っ赤な実が二つ並んだ様子から付けられたようですが、実には毒があります。

湿原を彩るように生えている木は、ズミ

白い花を咲かせる
蕾と咲き始めはピンク色
<蕾の赤、咲き始めのピンク色も綺麗です>

バラ科の木で、白い花を沢山つける様子はとても華やかです。

ふとした時に甘く香ることがあって、惹きつけられます。香りは五感を刺激する要素の一つ。
写真では伝わらないので是非霧ヶ峰を歩いて感じてみてください。

こちらも白い花を咲かせるミヤマザクラ

葉の上に白い花
<青々とした葉と白い花>

葉が先に出てから花を咲かせる種類のヤマザクラです。
水分を蓄えた青々とした葉と白い花、長い蕊が凛としていて見入ってしまいます。

木々の根元にはマイズルソウが少し開花していました。

小さな白い花
<開花中>
<蕾です>

全長が数センチほどの小さな植物でハート形の葉が特徴です。蕾は丸々と可愛らしく、秋に付ける実は個性的な色合いです。植物の様々な姿に注目してみると、いつでも楽しく歩けるのでお勧めです。

最後に、ホオアカの写真を。

ススキに止まる鳥
草を集める鳥
<口元にご注目♪>

巣材集めに忙しいホオアカのお母さんです。
オスに比べて、頬の赤みが淡く、胸元の模様の色合いが薄いのがメスです。
動物たちも活発に動き回るそんな季節がやってきました。

八島ヶ原湿原の花々(2023.5.19)

2023.05.21

先日八島ヶ原湿原を歩いてきました。広場では中学生が昼食をとっていて遠足でしょうか、とても賑やかでした。

その広場の傍らにキジムシロを見つけました。

円状に広がる黄色い花
〈キジムシロ〉

霧ヶ峰では5月頃から咲く花ですが、名前の通りキジが腰を掛けるのにちょうど良さそうな、お洒落な座布団のように見える植物です。
花をじっくり見ていると、ハムシやアブがせわしなく動き回っていました。

花にとまるアブ
<吸蜜中>

こちらも賑やかにお食事中ですね。

八島ヶ池、鬼ヶ泉水、鎌ヶ池ではシュレーゲルアオガエルの鳴き声が響き渡っていて、池のほとりには、小さな小さな植物が開花しています。

池と浮島
<八島ヶ池>
白い花
<ミズゴケ上に生えるタテヤマリンドウ、手前は蕾>

木道上から見ると小さな白い点にしか見えませんが、双眼鏡や望遠レンズで覗くと小さな白いリンドウが目に飛び込んできます。
タテヤマリンドウです。
ハルリンドウの変種とされ、亜高山・高山地帯の湿地に生える高さ5センチ程のリンドウです。花の色は淡い青~白ですが、霧ヶ峰で見られるものは白が多いです。

旧御射山(もとみさやま)神社まで来ると、「⁉」不思議な様子に目を奪われました。

左側が緑、右側が白い木
<右側だけ白いアオナシの木。「やまなしじいさん」の名前で親しまれています>

アオナシの木が半分だけ満開だったからです。日当たりの関係でしょうか…。
社の周りの足元にはニリンソウ。白い花を縁取るようにほんのり淡いピンク色をしています。

ニリンソウ
<葉はトリカブトに似ています>
ほんのりピンクのニリンソウ
<ほんのりピンク色のニリンソウ>

ニリンソウは、北海道~九州にかけて生息する植物ですが、北海道を舞台にした漫画、ゴールデンカムイの中にも登場しますね。
アイヌの伝統料理オハウ(鍋料理)に入れるシーンが美味しそうで、どんな味かと気になります…。

これからゼンマイやコゴミ、タラの芽など美味しい山菜が出てくる季節ですが、霧ヶ峰では採取することはできません。
ですが、本来自然とは人々にとって必要不可欠なものです。
衣食住あらゆるものは、自然を利用しているからです。

いきいきとした植物やそれに集まる生きものを見ていると、生きる力が感じられます。

地面から顔を出すシダ植物
青空に映える若葉

霧ヶ峰火災のその後(2023.5.21追記)

2023.05.07

ニュースでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、5月4日13時半過ぎに霧ヶ峰で大規模な火災が発生しました。

火災は、霧ヶ峰の南に位置するカボッチョと呼ばれる山でおきました(一般的な地図ではガボッチョと記されていますが、センターでは以前から使用されているカボッチョと表記します)。

黒く焼けた山
〈センター近くから見たカボッチョ〉

ゴールデンウィーク中盤、多くの人で賑わう中でのことです。山肌をゆらゆらと移動する炎と、上空まで立ち昇る大きな煙に驚いた方も多かったかと思います。

山肌を覆う炎
<カボッチョ北側を走る炎>

夕方には富士見台まで延焼。
車山山頂直下の広い範囲(現時点で約180ヘクタールと推定)が焼けましたが、多くの方々の消火活動により翌5日朝に鎮圧し、昼過ぎに鎮火しました。
出火原因は現段階で不明です。

翌日、センターでは火災や交通状況をインターネットや来訪者に伝えたり取材を受けたりと、対応に追われた一日でしたが、ケガ人や建物への大きな被害が無くひとまず安堵しました。

火災後の状況です。
車山肩の山小屋や建物はいつもどおりの姿で、車山肩からは焼けた様子はあまり見えません。

茶色の草原
<車山肩>

登山道を歩き、最初の大きなカーブに差し掛かると、目の間に黒い焼け野原が…。

黒く焼けた地表
<車山肩から車山山頂へ向かう最初のカーブから見たカボッチョ方面>
焼けたササ
<煤けたササ>

煤けたササが積もり、登山道の近くまで黒くなっていたので唖然としました。

車山山頂まで登ると、気象レーダードームと2020年に新設されたスカイテラスにも影響が無いことを確認。火の手はテラスの15m程まで迫っていました。

山頂の建物
<気象レーダードーム>
テラス
<展望テラス>

自然環境への影響について、移動できる哺乳動物や鳥は火から逃れられたかと思いますが、営巣中のヒナや昆虫には影響があるでしょう。
植物では低木のレンゲツツジが焼けてしまったものもありましたが、蕾がしっかり残っているものもありました。

黒い大地から枝を伸ばすレンゲツツジ
<蕾の付いたレンゲツツジ。例年見頃は6月。>

草本は芽吹きが始まった頃です。
霧ヶ峰を代表するニッコウキスゲは現時点で、芽吹いているものは多くなく、また群生地の車山肩は
火が入っていません。ニッコウキスゲに関して、現段階では火災による影響は大きくはなさそうです。

枯草の中に出ている葉
<ニッコウキスゲの芽>
新芽が出ている場所は少ない
<この時期は全体的に芽は少なめ>

広い草原景観が特徴の霧ヶ峰は、もともと火入れ(野焼き)をすることで出来上がった自然環境です。
現時点で詳細な影響は分かりませんが、霧ヶ峰の自然が無くなるわけではありません。

こちらは、2013年4月の野焼きが延焼した際の様子です。

黒い範囲が大きい草原
<踊場湿原北側斜面5月1日撮影>
緑の範囲が多い草原
<5月31日撮影>

火入れ後に新芽が芽吹き、一か月ほどで青々とした草原が現われました。
植物たちが一斉に成長する、自然の大きな力強さが感じられないでしょうか。

今後、風評被害が心配されますが、霧ヶ峰の自然を実際に見て、その良さを多くの方に伝えてもらえると幸いです。

最後に、火が入ったことで山菜などの芽吹きが良くなるかもしれませんが、草原内に立ち入ったり採取したりはしないでください。立ち入ることで折角芽吹いた植物を踏みつけてしまうことになります。
また、出火場所となったカボッチョは遊歩道が整備されていない民有地のため、立ち入らないようお願いします。

(2023.5.21追記)
火災のおおよその範囲は以下の通りで、道路及び登山道に影響はありません。

火災の範囲(カボッチョ~富士見台~車山山頂直下)

小さな春

2023.05.01

街中では夏日になる日が出ていますが、霧ヶ峰でも最高気温が18℃程の日があり、初夏のころの気温で驚きです。
霧ヶ峰に来られた方の中には半袖半ズボンの方もいましたが、センター周辺は標高1700m近い山の上。風が冷たく感じられることが多いため、上着があると便利です。

先日、春の霧ヶ峰を味わおうと、霧ヶ峰自然保護センターから八島ヶ原湿原まで歩いてきました。

センター前の園地ではどこからともなく「ピョピョピョ…」と早口な鳥の鳴き声がします。

ヒバリの飛翔
〈空高く舞うヒバリ〉

空高く舞い上がる、ヒバリのさえずり飛翔はこの時期ならではの光景。
霧ヶ峰の広々とした空をバックにどこまでも飛んでいきそうです。

草原と大空
〈15m位上昇していました〉

歩いていると、地面から湧き立つほのかな熱気と共に乾いた土や草の香りが、ふと、してきました。
この香りを嗅ぐと、山に春が来たことを感じるのですが、
自然の中を歩いていると五感が研ぎ澄まされていろいろなものが感じられます。

林の中では、木々の間から差し込む日差しを受けて、小さな花々が開花していました。
センター近くの林ではタチツボスミレ、ゴマ石山~沢渡の林の中ではヒメイチゲ。

タチツボスミレ
<タチツボスミレ>
岩の陰で咲くヒメイチゲ
<ヒメイチゲ>

上の写真の中で、どこに咲いているか探してみてください。

ヒメイチゲと一円玉
<一円玉を置いてみました>

ヒメイチゲは蕾がほんのりピンクで、この姿も可憐です。

ヒメイチゲ蕾
<ヒメイチゲの蕾>

この日は他にこんな植物を見つけました。

キジムシロ
<キジムシロ>
サクラスミレ
<サクラスミレ>

地面から4~5センチ以内の高さで展開している小さな植物たち。
小さくても成長している植物たちの姿を見ると生命力を感じます。
是非、足元にも目を向けて歩いてみてください。

最後に、ゴールデンウィーク中は駐車場の混雑が予想されます。
車山肩や八島湿原駐車場に停められなかった場合は、霧ヶ峰自然保護センター付近の駐車場もご利用ください。

地図はこちらです。

ちなみに、今回歩いたコースでは帰りにバスを利用しました。
バスについては「お知らせ」のページに載せているので、バスをご利用の方はこちらをご覧ください。

ノビタキに出会える春

2023.04.17

4月に入り動物たちの動きが活発になってきました。
目立つのは鳥たちで、ヒバリ、ウグイス、キジ、コゲラの鳴き声がセンター周辺でよく聞こえてきます。

そして霧ヶ峰を代表する鳥、ノビタキの姿が霧ヶ峰に戻ってきました。

ノビタキ
<ノビタキ>

ノビタキは渡り鳥で、霧ヶ峰には春から秋にかけて生活します。
シーズン中は頻繁に目にする鳥ですが、私はいつも長い冬を終えノビタキに出会える春が待ち遠しいです。

枝にとまるノビタキ
〈レンゲツツジにとまるノビタキ〉

ノビタキのさえずりは抑揚の付いた高い音色。
さえずりは、求愛や縄張りを主張するための鳴き声で、草原のあちこちで聞こえきます。
これから繁殖シーズンを迎えますが、先日車山湿原で、三羽がバサバサと飛び交っている様子を目撃しました。
メスをめぐる争いかもしれません…。

車山湿原
<車山湿原>

車山湿原では春一番に咲くザゼンソウの姿を見つけに訪れたのですが、「あれ?少ない」という印象でした。

ザゼンソウ
<上端だけ地表にあらわれている姿も面白いです>

少し寂しい気がしますが、自然のものですので毎年同じということは全くありません。またそれが自然を見る楽しさでもあります。

さて、4月14日に霧ヶ峰パークボランティアの方と共に館内の大掃除をしました。

館内の大掃除
<昨年リニューアルした展示室>
テラスの大掃除
<昨年新設したテラス>

館内を丁寧に掃除し、展示物を元に戻すと、春がやってきたことを実感します。

1973年に開館し昨年リニューアルしたセンターは、開館50周年となる節目の年。
新しい企画も用意したので、是非お立ち寄りください。
今年度もスタッフ一同皆様のご来館をお待ちしております。

踊場湿原の草紅葉

2022.09.22

一雨ごとに秋が深まっています。
9月22日朝9時の気温は15℃、昨日から今朝までの最低気温は9℃でした。
朝晩は特に冷え込み肌寒いです。

ススキとオレンジに色づく草紅葉
〈踊場湿原〉

霧ヶ峰では草が色づく草紅葉が見ごろになってきました。
踊場湿原ではパッチワークのように様々な色がちりばめられていてひとつの大きな作品のよう。

池と草紅葉
<アシクラの池周辺>
湿原が橙、黄色に染まる
<湿原中央>

黄葉している植物は間もなく枯れる運命にありますが、多年草(ふつう2回以上開花・結実する)の植物の場合、地上部分が枯れても根は生きていて、地下で次の春を待ちます。
また一年草は発芽後一年以内に枯れますが、その間に開花し種を付け、次の世代に繋げます。

薄茶色の種を付けたシシウド
<シシウドは多年草ですが、花を咲かせ実をつけるのは一度きり>

植物はそれぞれのサイクルで生命をつないでいます。

枯れるのは終わりではなく、はじまりと言えるかもしれません。

さて、踊場湿原の周辺はぐるっと一周散策することができます。
八島湿原や車山湿原と違って、湿原の周りにススキ原が広がっているのが特徴です。

曇り空の踊場湿原
<ススキが広がる踊場湿原>

このススキですが、秋に注意してほしいのはこれです。

ススキの葉がちまきのように巻かれていて面白い形なのですが、これには絶対触れないでください。
この中にはカバキコマチグモという毒グモが営巣しています。

ススキ
<ススキの葉を利用し営巣します>

触ると皮膚が腫れひどい痛みが出るそうなので、触れないよう注意してください。
探して見つけられると面白くもありますが…。

さらにススキが生える足元には、ウメバチソウハナイカリなどかわいらしい花々が咲いていました。

五枚の花弁の白いウメバチソウ
<ウメバチソウ:撮影9月22日>
トゲトゲした形の小さな花をたくさんつけるハナ
<ハナイカリ:撮影9月22日>

この連休は天候が雨や曇りの予報ですが、曇りや雨の日の景色は晴れの日とは違った景色を味わえます。

ススキひとつとっても、天候によって銀色(晴れ)、黄金色(曇り)、黒(雨や霧)とその時によって見え方が違うのが不思議です。

防寒対策をして、是非秋の深まる霧ヶ峰を歩いてみてください。

イタチと水たまり

2022.09.08

八島湿原では今、サラシナショウマやエゾリンドウ、アキノキリンソウなどが見頃です。

斜面に咲くサラシナショウマ
〈広場から右側に進んだ斜面に生えるサラシナショウマ〉

花穂が試験管を洗う白いブラシのような見た目で、風に揺れるとユラユラします。
サラシナショウマに顔を近づけると、甘い香りが。
匂いの感じ方は人によって違いますね。皆さんはどう感じるでしょうか。

歩いていると個性的な見た目の植物が目につきます。

すらりと伸びた茎
<高さは1メートル以上>

イガグリのようなトゲトゲがいくつも茎の先に付いていて、中央が開くと目玉のような姿。花はアザミに似ています。

開きはじめ
<開花しはじめ>
開花
<中央が開き開花します>

個性的な見た目で、霧ヶ峰関係者にもファンの多い(!?)ハバヤマボクチです。
名前も面白いですね。

ハバヤマとは葉場山で、草刈り場のことを指し、ボクチとは火口、つまり火種を意味するそうです。
ハバヤマボクチの葉の裏側には綿毛がついていて、火を移しとるための火種として使っていたと言われます。
草刈り場として利用されてきた霧ヶ峰に相応しい植物ですね。
よく見るとトゲトゲ(総苞片)の間にも白い綿(クモ毛)がついていますが、いったい何のためについているのでしょう。
不思議です。

さて、木道を過ぎて砂利道のところで、焦げ茶色のなにかを見つけました。

道端に何やら…
<道端に何かいる…!>

微動だにしなかったので、はじめは木の一部に見えましたが少し様子が違います。
カメラを向けてみると、なんとイタチでした。
霧ヶ峰で明るい時間にイタチを見たのは初めてでしたが、興奮を抑えつつ撮影しました。

イタチ
<イタチ>

夏毛で全体的に黒く、脚から頭までが長くヒョロッとしています。
長年出会いたかった動物に、突然出会えてとても嬉しい出来事でした。

さて、目の前には小さな水たまり…。
今年の9月は雨が多く、こんな水たまりがあちこちにできています。

イタチと水たまり
<イタチと水たまり>

イタチは、こちらの様子を気にしつつ、目の前にある水たまりの水を飲み始めました。
人がいても、水たまりの水でも、気にならないどころか、どうしても水を飲みたいように見えました。

水が必要なのは野生の生きものだけではありません。

霧ヶ峰の大地に浸みこむ水は、諏訪の人々が使う水源の一部となり、伏流水は諏訪の地酒にも利用されています。

多くの生きものの生命を支える水が、霧ヶ峰にあります。

秋風にゆれるススキと花々

2022.08.28

吹き抜ける風が少し冷たく感じられるようになってきました。
また、草原を彩っていた花々は秋の草花に入れ替わっています。

ゴマナ
<ゴマナ>
細い茎に紫色の蕾
<ヤマラッキョウの蕾>

園地ではアキノキリンソウがまとまって咲いていて、茎の先に集まった小さな黄色い花々が鮮やかです。

黄色と赤紫の花
<黄色いアキノキリンソウと赤紫色のマルバハギ>

他にはツクバトリカブトの紫色も草原で目立ちます。

ツクバトリカブト
<園地に咲くツクバトリカブト>

さて、センター周辺は今ススキが一面に広がっています。

一面に広がるススキ原
<風になびくススキ>

皆さんはススキの花を見たことがあるでしょうか。

ススキの穂に黄色いものがついている
<ススキ>

近寄ってよく見ると穂にクリーム色の小さな粒がぶら下がっています。
この部分が雄しべです。
ふわふわの綿毛の印象が強いススキですが、かわいらしい花の姿も是非見てみてください。

このススキは、人々が古来から利用してきた植物です。
何に使ったかといえば、別名の「カヤ」と言えば想像がつくでしょうか。
ススキは茅葺屋根の材料などに使われ、刈るための場所は茅場と呼ばれ利用されてきました。

先日ボランティアの方から、「子供の頃に親がススキ刈りをするのに一緒に来た」というお話を伺いました。
霧ヶ峰は地元の人たちにとっては生活の場でもあったのです。

ススキの穂
<ススキの穂>

古くからススキを利用してきた歴史からか、自分自身が子どもの頃から見慣れた植物だからか分かりませんが、ススキ原を見ていると懐かしい気持ちになります。

これから穂が開き、9~10月には一面が銀色に輝きキラキラと美しいです。
人出の少ない時期、ゆっくり景色を楽しんでみてください。

ニッコウキスゲ開花状況(2022年7月17日)

2022.07.17

3連休2日目の日曜日、霧ヶ峰には多くの観光客の方が訪れました。

渋滞する道路
〈車山肩付近を車山中腹から撮影した様子〉

車山肩周辺の道路は朝から15時過ぎまで渋滞し、写真のように車が列を連ねていました。

明日も混雑が予想されますので、センター周辺や霧ヶ峰スキー場付近、車山高原の駐車場もご利用ください。
(地図はこちらをご覧ください)

ニッコウキスゲの開花状況ですが、見頃は連休明け数日位までとなりそうです。

ニッコウキスゲ群落
<車山肩・ビーナスの丘>

終花したもの、まだ蕾が残っているものと様々ですが、まだつぼみがありましたのでもうしばらく楽しめそうです。

ニッコウキスゲの群落の中には、オオバギボウシ、ツリガネニンジンなどの花々も咲き、天空のお花畑と言いたくなる光景が広がっていました。

橙色と白のお花畑
<車山肩・ビーナスの丘>
オオバギボウシ
<オオバギボウシ>
ツリガネニンジン
<ツリガネニンジン>

下の写真は車山高原と富士見台の様子です。

ニッコウキスゲ群落
<車山高原(車山東側の斜面上部>
ニッコウキスゲ群落
<富士見台(撮影は車山中腹から)>

夏真っ盛りですが最近は天候が不安定ですので、雨具や防水性の靴などを用意したうえで霧ヶ峰の自然を満喫してください。
最後にここ5日間の気温(センター観測)です。

最高気温最低気温
13日21.2℃14.1℃
14日21.8℃15.5℃
15日19.5℃14.5℃
16日18.4℃13.8℃
17日18.5℃15.6℃

7月初旬に比べて過ごしやすい陽気が続いています。
風が冷たいときや日差しが強いときのため、長袖の上着もお持ちください。

ニッコウキスゲ開花状況(2022年7月7日)

2022.07.07

霧ヶ峰全域でニッコウキスゲが見頃を迎えています。

ニッコウキスゲ橙色の群落
〈車山肩〉
ニッコウキスゲ群落
<富士見台>

霧ヶ峰で現在ニッコウキスゲがまとまって見られるのは、防鹿柵で囲まれている八島ヶ原湿原、霧ヶ峰自然保護センター周辺、車山肩、富士見台、車山高原です。

ニッコウキスゲ見られる場所
<ニッコウキスゲの群落が見られるのは防鹿柵の中です>

この見頃は1週間から10日ほど続きそうです。

花盛りの季節。八島ヶ原湿原で様々な花が目を楽しませてくれます。

紫に黄色のラインが入ったノハナショウブ
<ノハナショウブ>
紫色のノアザミ
<ノアザミ>
白いオオカサモチ
<オオカサモチ>

昆虫たちもいつの間にか増えてきました。

オオカサモチに集まる虫
<オオカサモチにはあちこちで吸蜜中の虫たちがいました>

センター周辺ではヒョウモンチョウやシジミチョウの仲間が増えてきました。

自然の移り変わりのスピードに置いて行かれないよう観察しつつ、今後も自然情報をお伝えしていきます。

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