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子どもたちと自然保全活動を行いました

2023.09.08

ブログをしばらく更新していない間にすっかり秋モードの霧ヶ峰です。

センターの周辺ではススキの穂がだんだん広がってきました。

夕日に照らされオレンジ色のススキ
<夕日に染まるススキ>
夕日に染まるススキ草原
〈忘れ路の丘〉

これから先10月末位まで、しばらくこの風景が見られます。

草原には、ウメバチソウやノコンギクなどの花が咲いています。

白い花
<ウメバチソウ>
薄紫色の花
<ノコンギク>

夏に群生するニッコウキスゲなどとは違って、数はそんなに多くはありませんが、夜空に瞬く星のように、草原に散りばめられた花々。探しながら歩くと楽しいです。

こちらの写真、子どもたちは何を探しているのでしょうか。

草地にかがむ子供たち

探しているのは、へラバヒメジョオン。北アメリカを原産とした外来植物です。
霧ヶ峰本来の生態系に影響を及ぼす可能性があるため、協議会では駆除作業を計画的に行っているのですが、今回は学校の希望で作業を行うことになりました。

今の時期は形が似たキク科の花があるため、間違えないように気を付けながら作業をしてもらいました。一生懸命作業に取り組んでくれて、「楽しい」という声が聞こえたのが嬉しかったです。

小さな白い花
<へラバヒメジョオン>

このヒメジョオン類、霧ヶ峰では1970年代から侵入が報告されています。
観光道路ビーナスライン白樺湖~霧ヶ峰間が開通したのが1968年。
多くの人たちが訪れるようになり手軽に自然を味わえるようになった反面、人々の行動によって自然への影響は少なからず出ています。
その後1973年、霧ヶ峰自然保護センターが開館しました。霧ヶ峰の自然・歴史文化を後世へ伝えること、また保全の役割も担っています。

ちなみにセンターが開館した日は9月4日。実は50周年という節目の年なんです!

話は戻りますが、自然への影響ということについて、8月末に来たインターン生が実習で課題として取り組んでくれました。
実習では霧ヶ峰パークボランティアの皆さんと共に体を動かし公園整備を行ったり、外来種駆除作業も一緒に手伝ってもらいました。

大学生と小学生
<外来種駆除作業の様子、インターン生と小学生が作業に取り組み中>

最後に、インターン生の文章を抜粋したものを紹介します。

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ボランティアの皆さんが楽しく自主的に活動を行っている姿を見て、霧ヶ峰の保全に
対する熱意に尊敬したとともに、私も積極的に保全活動に携わりたいと思いました。
私は自然保護と観光振興の両立について理解を深めたいと考え、インターンシップに
参加させていただいています。
霧ヶ峰は木々が少なく、周囲の景色が見渡せる開放感が魅力です。霧ヶ峰に訪れた際
にはぜひ車から降りて、五感を使い自然を味わってほしいと思っています。

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利用と保全の両方が成り立つように努力することが、センターとしてのひとつの使命だと思います。
訪れる方たちも是非そのことを知ってもらい、自然を感じること、自分にできることを考えてもらえると嬉しいです。

車山スノーハイク(2023.2.20)

2023.02.20

昨日は里だけでなく霧ヶ峰でも大雨でした。
気温が低いため路面は凍結、県道40号線(角間新田~強清水)が一時通行止めになるなどの影響が出ました。

山の様子をお伝えするため、車山肩~車山~車山湿原~車山肩を歩いてきました。
コースタイム等は冬の霧ヶ峰 – 霧ヶ峰自然保護センター(ビジターセンター) (kirigamine-vc.jp)
のページの「冬季散策マップ」にも載っていますが、今回歩いたコースは約1時間30分くらい(休憩を除く)かかります。

地面は氷状態
〈車山肩駐車場)

車山肩の駐車場です。昨日が雨だったため地面は氷状態でツルツルでした。駐車するときにタイヤが雪に埋まると出られなくなってしまうのでご注意ください。歩く時もツルツルでちょっと怖いです(でも半分楽しかったです…)。

草木が雪の上に少し見えている山肌
〈駐車場から車山山頂へ向かう〉

積雪は少し減り30センチ程度でしたが、遊歩道がある場所は雪で覆われ固くしまっていました。
軽アイゼンやスノーシューなど刃のついた滑り止めがあるとよいです。服装は上下防水の服、手袋帽子などの防寒着、足元が濡れないようにスパッツを装着。軽装の方を見受けますが、車山肩で標高約1800mあります。また、木々が少ないため風を受けやすいので、しっかりとした防寒対策が必須です。

〈スノーシューを装着〉

八ヶ岳や富士山、南アルプスなど、こちらよりも標高の高い山々は冠雪していて、日が当たると真っ白に輝いていました。霧ヶ峰の気象は長野県の北信地域に比べ、冬でも晴れの日が多いです。

八ヶ岳
〈八ヶ岳〉
一面雪。奥に気象レーダードーム。
〈奥の建物は気象レーダードーム〉

気象レーダードームが見えれば山頂はもうすぐです。夏だと石がゴロゴロしていますが、雪面が固いので高速ですいすいと歩けるのが楽しいです。

展望テラスと蓼科山
〈山頂のテラスと蓼科山〉

夏は大にぎわいのテラスも冬の平日は人が少なく、景色をゆっくり見られます。…と言っても寒いので中々じっとはしていられませんね。こちらのテラスではアイゼンやスノーシューを外してご利用ください。

スキー場のコース
〈スキー場コース〉

車山山頂から車山乗越方面へ下ります。スキー場コースの下は雪が締まっていればよいですが、吹き溜まりになりやすく、体が埋まるほどになってしまうこともあります。滑走者に気を付けながらコース端を通る方が歩きやすいです。

雪で覆われる山々
〈車山肩と蝶々深山との分岐〉

右の山は蝶々深山。分岐からは往復1時間ほどなので、もっと歩きたいという方はこちらに行くのもおすすめです。今回は左側を通り、車山肩へ戻りました。

車山湿原と山並み
〈車山湿原と車山〉

車山肩へ戻る最後の登りで振り返って見える景色です。

中央から左は車山湿原です。車山湿原は国天然記念物のため積雪時でも許可なく立ち入ることはできませんが、この場所は湿原だけではなく、車山北側の樹叢を含む湿原周囲の斜面も天然記念物に指定されています。

車山湿原は霧ヶ峰の自然を守ろうと尽力した方々により、八島ヶ原、踊場湿原とともに1939(昭和14)年に天然記念物に指定されました。
この自然を未来へ残すために何ができるか、訪れる方も霧ヶ峰の自然を楽しみつつ一緒に考えてもらえると嬉しいです。


園地のヤナギランとボランティア体験

2022.08.08

ニッコウキスゲが咲き終わり、霧ヶ峰は夏の後半に咲く植物が増えてきました。
今年は全体的に開花が早い傾向で、ヤナギランもすでに見ごろとなっています。

ピンク色のヤナギランの群生
〈ヤナギラン。センター前の園地にて。左上は滑空しているグライダー〉
ヤナギラン
<下から順番に咲いていきます。上は蕾、下は既に咲き終わり種を作る準備中>

濃いピンク色が鮮やかです。
園地(センターから徒歩5分くらいの場所です)で咲いていますので是非散策してみてください。

マツムシソウも電気柵の周辺で咲いていますが、今年は少し花数が少なめのようです。

マツムシソウ
<マツムシソウ>

薄紫色の花が涼しげで可憐なお花ですね。先日車山山頂の岩場でも見かけました。

さて、園地で咲いている植物には花の名前が分かるよう札がついていますが、こちらは霧ヶ峰パークボランティアの皆さんが取り付けています。

ハンゴンソウ
<ハンゴンソウ>

普段は大人だけで行っている作業ですが、8月6日は中学生と一緒に作業しました。
将来を担う子どもたちに霧ヶ峰の自然を知ってもらい、霧ヶ峰での活動を体験してほしい、というセンターの思いから、諏訪市社会福祉協議会の活動の一環として行いました。

花の名札を取り付ける作業
<作業を行っているところ>

杭を打ち込んだり、名札を取り付けたり…。
率先して作業を行ってくれてとても頼もしい子どもたちでした。
最後に感想を聞くと、植物に興味を持ってくれたことがわかり嬉しく思いました。

活動を通して、霧ヶ峰の豊かな自然を知り、人と人との気持ちが繋がることを願っています。

次回は11日にゴミ拾いなどの巡回活動を行う予定です。
見かけたら優しく声をかけてくださいね。

汗をながして作業!

2021.09.06

昨日、車山肩東側で霧ヶ峰自然環境保全協議会のニッコウザサ刈取り作業がありました。
今回は、地権者の方や行政関係者が作業にあたり、センター職員も参加しました。

仮払い機での作業
〈笹刈り作業〉

今回作業を行った場所は、二ホンジカの食害によってニッコウキスゲなどの花が減り、ニッコウザサが増えてきた場所のひとつですが、2014年から刈り取り作業を行い、その効果を確認しています。

草原での刈取り作業
〈車山肩東側〉

作業にあたったエリアは、昨年も刈り取りを行っており、今年7月にはニッコウキスゲが数多く咲いていました。

ニッコウキスゲの群落
〈今年7月の様子〉

来年も必ずたくさん咲くかどうかは一概に言えませんが、効果は少なからずあるのではないでしょうか。

また、協議会ではこうした作業の他に外来種の駆除も毎年行っています。
霧ヶ峰で多いのは、フランスギクやヒメジョオン、オオハンゴンソウなどです。

フランスギクの白い花
〈フランスギク〉


見た目は華やかで綺麗ですが、中には、繁殖力が強く在来植物に影響を与えることがあるため、抜き取ったり刈り取ったりしています。

フランスギク駆除作業
〈フランスギク駆除作業〉

汗をかきながらの地道な作業ですが、実際にやってみると、黙々と作業をするのが意外と楽しかったりします。

根っこの塊
〈オオハンゴンソウの根〉

今年は感染症対策のため、例年行っているボランティアの募集は行いませんでしたが、来年度募集があれば、是非参加してみてください。

草原再生作業に参加しました

2021.04.29

先日、草原景観を維持するための雑木伐採の作業がありセンター職員も作業に参加してきました。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: DSCN8716-edited.jpg
草原再生作業

作業を行ったのは旧料金所の霧ヶ峰インターチェンジから車山肩方面に向かうビーナスライン沿い。

路肩の草地に生えるヤナギやカラマツの幼木などを、ノコギリやなたを使って伐採しました。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: DSCN8725.jpg
雑木を切る

例年は一般のボランティアなどを募って作業を行うのですが、今回は新型コロナウィルス感染症対策のため、
諏訪市の職員の方と県職員で行いました。

木を切る作業は地道ですが、皆さんの力で路肩がすっきり…‼

作業前
作業途中

そもそもなぜこんな作業をするのかというと、霧ヶ峰の広大な草原は古くから人の手が入り、
草刈りや火入れによって維持されてきた景観です。

人の手が入らなくなると、どうなるかというと次第に森林化が進んでいきます。

こちらの写真は今から10年以上前の踊場湿原の様子ですが、斜面に木が多く生えています。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: odoriba011.jpg
踊場湿原(雑木処理前)

雑木処理の作業を継続した結果、数年前にはこのような景観になりました。
霧ヶ峰らしい草原ですね。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: odoriba022.jpg
踊場湿原(雑木処理後)

草原を維持することは、そこに生息している動植物を守ることにも繋がります。

これからも末永くこの草原を守っていくために、できることをしていきたいものです。

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