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ニッコウキスゲ開花状況(2022年7月17日)

2022.07.17

3連休2日目の日曜日、霧ヶ峰には多くの観光客の方が訪れました。

渋滞する道路
〈車山肩付近を車山中腹から撮影した様子〉

車山肩周辺の道路は朝から15時過ぎまで渋滞し、写真のように車が列を連ねていました。

明日も混雑が予想されますので、センター周辺や霧ヶ峰スキー場付近、車山高原の駐車場もご利用ください。
(地図はこちらをご覧ください)

ニッコウキスゲの開花状況ですが、見頃は連休明け数日位までとなりそうです。

ニッコウキスゲ群落
<車山肩・ビーナスの丘>

終花したもの、まだ蕾が残っているものと様々ですが、まだつぼみがありましたのでもうしばらく楽しめそうです。

ニッコウキスゲの群落の中には、オオバギボウシ、ツリガネニンジンなどの花々も咲き、天空のお花畑と言いたくなる光景が広がっていました。

橙色と白のお花畑
<車山肩・ビーナスの丘>
オオバギボウシ
<オオバギボウシ>
ツリガネニンジン
<ツリガネニンジン>

下の写真は車山高原と富士見台の様子です。

ニッコウキスゲ群落
<車山高原(車山東側の斜面上部>
ニッコウキスゲ群落
<富士見台(撮影は車山中腹から)>

夏真っ盛りですが最近は天候が不安定ですので、雨具や防水性の靴などを用意したうえで霧ヶ峰の自然を満喫してください。
最後にここ5日間の気温(センター観測)です。

最高気温最低気温
13日21.2℃14.1℃
14日21.8℃15.5℃
15日19.5℃14.5℃
16日18.4℃13.8℃
17日18.5℃15.6℃

7月初旬に比べて過ごしやすい陽気が続いています。
風が冷たいときや日差しが強いときのため、長袖の上着もお持ちください。

ニッコウキスゲ開花状況(2022年7月7日)

2022.07.07

霧ヶ峰全域でニッコウキスゲが見頃を迎えています。

ニッコウキスゲ橙色の群落
〈車山肩〉
ニッコウキスゲ群落
<富士見台>

霧ヶ峰で現在ニッコウキスゲがまとまって見られるのは、防鹿柵で囲まれている八島ヶ原湿原、霧ヶ峰自然保護センター周辺、車山肩、富士見台、車山高原です。

ニッコウキスゲ見られる場所
<ニッコウキスゲの群落が見られるのは防鹿柵の中です>

この見頃は1週間から10日ほど続きそうです。

花盛りの季節。八島ヶ原湿原で様々な花が目を楽しませてくれます。

紫に黄色のラインが入ったノハナショウブ
<ノハナショウブ>
紫色のノアザミ
<ノアザミ>
白いオオカサモチ
<オオカサモチ>

昆虫たちもいつの間にか増えてきました。

オオカサモチに集まる虫
<オオカサモチにはあちこちで吸蜜中の虫たちがいました>

センター周辺ではヒョウモンチョウやシジミチョウの仲間が増えてきました。

自然の移り変わりのスピードに置いて行かれないよう観察しつつ、今後も自然情報をお伝えしていきます。

ニッコウキスゲ開花状況(2022年7月5日)

2022.07.05

6月下旬から咲き始めたニッコウキスゲですが、早くも見頃を迎えてきています。

オレンジ色のニッコウキスゲ群落
<車山肩ビーナスの丘>

今年は開花が一気に進んだためか橙色の群落が見事です。
ぐんぐん成長して丈がいつもより長い印象です。

霧ヶ峰の各地点でのニッコウキスゲの咲き具合です。
・八島ヶ原湿原…4割
・霧ヶ峰自然保護センター周辺…4割
・車山肩…3~4割
・富士見台…4割
・車山高原…見頃

八島湿原
〈八島ヶ原湿原〉
センター周辺
<自然保護センター周辺園地>
車山肩
<車山肩>
富士見台
<富士見台>

小さな蕾はまだたくさんありますので7月中旬頃でも楽しめそうです。

このあとの雨・風の影響が少ないことを祈ります。
さらに、車山肩S字カーブ付近に3年前に設置した電気柵の中にも、30~40株ほど開花しているのを確認し感動しました。この電気柵はニホンジカの食害から守るため設置しています。
牧野共同農業組合の方々が中心となり草刈りを行ったのですが、日が当たりやすい環境になったことで花が咲くようになってきたのでしょう。

人間は自然のすべてをコントロールすることはできませんが、人が手を入れることは必要なのだと感じます。

ほんの十数年前までは一面がニッコウキスゲの橙色に囲まれていた霧ヶ峰。
昔を知る方からは当時を惜しむ声も聞かれますが、今年のニッコウキスゲはかつての様子が少し蘇ってくるようです。

今年のニッコウキスゲは?

2022.06.26

先日までまだ咲いていると思ったレンゲツツジですが、
ここ数日の強風であっという間に花が落ちてしましました。

かと思えば早くもニッコウキスゲがポツポツと咲きだしていました。
センター前の園地では、ここ数年6月末に開花を確認していましたが、今年は6月20日頃に開花を確認しました。

草原に咲くニッコウキスゲ
〈センター前の園地で〉

ニッコウキスゲの見頃は例年7月中旬頃。
見頃は年によって異なりますが、気温の高い日が続けば今年は7月上旬に見ごろになるかもしれません。

ニッコウキスゲと小さな虫
<ニッコウキスゲ>

ちなみに、この写真のニッコウキスゲの茎に白いものがついていますが何だと思いますか?

実は、これはアブラムシの一種でキスゲフクレアブラムシといい、ニッコウキスゲから出る汁を吸って生きています。
小さな虫が集まった様子に、ゾワゾワと感じる人もいるかもしれません。
ぎっしりと「密」状態であまり動きがありませんが、窮屈に感じないのでしょうか…。
ですが、たまに歩いている姿を見かけることがあり、一列になってちょこちょこと歩く様子は面白いです。

ニッコウキスゲ以外にもいつの間にかさまざまな植物が開花していました。

アヤメの株
<アヤメ>

アヤメ、イブキトラノオ、キバナノヤマオダマキなど。

白くて細長いイブキトラノオ
<イブキトラノオ>
キバナノヤマオダマキ
<キバナノヤマオダマキ>

キバナノヤマオダマキは毎朝確認する百葉箱の下に咲いていました。
咲いてみないと気付かない花がいくつもあります。
日々植物の変化が楽しめる季節です。是非ゆっくり散策してみてください。

レンゲツツジ開花状況(2022年5月31日)

2022.05.31

踊場湿原のレンゲツツジが開花しています。
昨年の同じ時期は開花し初めでしたが、今年は植物の開花が全体的に早く、踊場湿原は4割ほど開花していました。

レンゲツツジ群落
〈踊場湿原南側の丘〉
レンゲツツジアップ
<雨に濡れるレンゲツツジ>
蕾の多い木
<これから開花する木>

この先気温が高い日が続けば、踊場湿原での見頃は1週間程でやってくるかもしれません。

センター周辺やそのほかの場所でも蕾が膨らみ朱色が目立ってきたものがあったので、6月中旬以降には霧ヶ峰全体でも見頃になりそうです。
ちなみにセンター裏の林近くでは蕾がたくさんついていたので、これからの様子が楽しみです。

今日はしっとり霧がかかり、レンゲツツジの朱色が際立っていました。

霧に包まれる林
<霧がかかる>

写真と実際の色は少し違うように見えます。
是非足を運んで見てみてください。

レンゲツツジが咲いている近くにあった高さ7m位の木を見上げると、白い花が。

ミヤマザクラの白い花
<林の際で>

ミヤマザクラです。霧ヶ峰で咲く桜の中では一番遅くに咲く種類の桜です。

ミヤマザクラより樹高が低い木にも白い花が咲いていました。
こちらはズミ。

エゾノコリンゴの白い花
<駐車場脇に咲いていたズミ>

可憐な花をたくさんつけていました。
昨年は花付きが少なめだったのですが、今年はすでにたくさん花をつけた木を見かけます。

霧ヶ峰に花々の季節がやってきました。

レンゲツツジの様子はまたブログでお伝えします。

旧御射山のアオナシの花

2022.05.22

花の種類が少しずつ増えてきました。

丈の小さな植物が我先にと地面から顔を出します。
周りに背の高い植物が少ないこの時期は、小さくても充分に日にあたり成長することができます。

コケと落ち葉の間に咲く紫色のスミレ
〈タチツボスミレ〉

スミレ、フデリンドウ。
薄茶色の枯草が引き立て役のように感じる鮮やかな紫・青色です。
ハッとする色合いですが、人間を惹きつけるため、というわけではもちろんなく(かわいい見た目に釘付けになりますが)花粉を運ぶ昆虫を惹きつけるためと言われます。

枯草の間に咲くフデリンドウ
<沢渡の道路わきに咲いていたフデリンドウ>

八島ヶ原湿原の南端にある旧御射山に足を運ぶと、
アオナシの木にたくさんの花が咲いていました。

旧御射山
<旧御射山。中央右側がアオナシ>

花の付き方は毎年同じではないですが、
今年はよく花がついています。

アオナシの白い花
<アオナシの大木。霧ヶ峰では「やまなしじいさん」という名前でもおなじみ。>

大木の下で花をじっと眺めていると、時間を忘れてしまいます。
花弁は大きく、葯が紫色で目立ちます。
そして花には虫がやってきていました。

アオナシの花
<アオナシの花>

受粉し、秋になると直径3センチほどの青い実がなります。
アオナシに似たヤマナシは、現在食用としているナシのもとになっていると考えられていますが、
アオナシは果実の底についている「がく片」が飛び出ているため区別できます。
どちらも食用のナシとは異なり、そのまま食べるのは…
大変なようです。

今年は実がいくつなるでしょうか。
秋になる果実も見てみたいものです。

アオナシに続いて、花を咲かせそうな蕾を見つけました。

気についている赤い蕾
<赤い蕾>

ズミです。
アオナシと同じくバラ科の植物で、別名のコナシという名前でも知られています。
蕾は赤いのですが、白い花を咲かせます。
ズミが咲く日もあと少しかもしれません。楽しみです。

車山湿原のザゼンソウ

2022.04.15

今年は多かった雪。ですがあっという間に解けてだいぶ減ってきました。

雪が残る車山湿原
<車山肩から車山湿原を見下ろす>

この時期に車山湿原に来たのは、この時期に咲く植物の様子を見たかったからです。
何かというと、ザゼンソウ。
霧ヶ峰では雪解け後、真っ先に咲く花です。

雪解けの水に浸るザゼンソウ
<雪解け水に浸るザゼンソウ>

湿原をぐるりと一周すると、西側の方にたくさん見つけました。

小さいザゼンソウがたくさん咲いている
<小さなザゼンソウがいくつも>
ザゼンソウ
<外側の赤い部分は仏炎苞>

ザゼンとは座禅。僧侶や達磨のイメージからつけられた名前のようです。
小人たちの帽子のようにも見え、あちこちで姿をのぞかせていてかわいいです。

自然のものなので仕方ないのですが、どれを見ても内側の花の部分が良く見えず、そっぽを向いているようでした(湿原の中には入れません)。

たくさんあるのになぜ?!とちょっと不思議です。

ザゼンソウが咲いている湿原の表面はポコポコと波打っています。

たくさんのザゼンソウ
<湿原の表面>

車山湿原は高層湿原と呼ばれ、ミズゴケなどの泥炭が厚く積もった特殊な湿原です。
一年に一ミリというわずかな量が積み重なり、また、波打った表面は凸凹を繰り返しながら成長しているといわれます。

車山湿原の正確な年数はわかっていませんが、深いところで約1.5mあるため、長い年月をかけ今の姿になったことが想像されます。
ザゼンソウも春に現れては枯れ、また新たな世代に入れ替わり、ということを何度繰り返してきたのでしょうか。
誰もいない湿原で、ふと、長い時間を感じたような気がしました。

草にとまるノビタキ
<湿原にいたノビタキ>
大空を舞うトビ
<旋回するトビ>

湿原ではノビタキの朗らかなさえずりが響き、周辺ではトビが伸びやかに舞い、気持ちよさそうです。

霧ヶ峰にも春がやってきました。

車山湿原を歩かれる方は、足元が濡れないようにして、静かな春の霧ヶ峰を味わってみてください。

冬の気配

2021.11.06

今日午前11時の気温は8度ほどで、昨日の夜から朝にかけての最低気温は氷点下でした。
手袋をしないで外に出たところ、失敗!手がかじかんでしまいました。

そこまで風は強くなかったのですが、ススキが風に揺れる音が、より一層寒さを引き立てているようです。

ススキ原
〈園地のススキ〉

私が歩いた時、夏鳥のノビタキやホオアカの姿はありませんでした。
すでも、渡りのために移動している個体もいる頃です。
今まで聞こえていたさえずりが聞こえなくなると恋しくなりますね。

林と落ち葉
<園地の樹叢>

園地の樹叢に生えているミズナラは落葉しているものが多く、秋が終わるさみしさを感じます。
ですが、林に入ってみると、まだ落ちていない葉に日が当たって輝いていて、温かみを感じました。
また、木々が風を遮るため、そこまで寒くありありません。

オレンジ色のミズナラの葉
<ミズナラの紅葉>

センター裏に生えている落葉針葉樹のカラマツ。
葉がハラハラと落ちていますが、橙色のような温かい色合いです。

青空とカラマツの木
<センター裏のカラマツ>

さて、林の近くのレンゲツツジには、朱色のつぼみ…?

枝先に付く赤い芽
<レンゲツツジの枝先>

今から花を咲かせるわけではありません。これは冬芽で、来年に向けて準備をしているところです。
葉を落とした後、枝先につく赤い冬芽。

植物の命を感じます。

レンゲツツジには冬芽以外に、こんなものがついていました。

枝の先につく実

実です。
レンゲツツジの実はあまり見られないので(なぜでしょう?)、こんな実を付けていたことを知りませんでした。
種が気になって、さやの中をのぞいてみたのですが、薄茶色の薄い種がいくつも入っていました。

もうすぐ冬に入ろうという時期ですが、こんな時期でも植物たちはちゃんと生きています。

最後になりますが、霧ヶ峰自然保護センターの現在の様子です。

建設資材に囲まれたセンター
<改修中の霧ヶ峰自然保護センター>

改修工事のために囲われていますが、開館中です。
今年度も11月15日まで開館していますので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。

色んな秋。

2021.10.15

車山湿原の草紅葉を見に行ってきました。
日に当たると輝くように色づいていた草は、少し彩度が落ちたように見えますが、深い茶色へと変化していました。

車山湿原の草紅葉
〈車山湿原の草紅葉〉

周りの草原は、夏とは違って少し色あせたように見えますが、淡いトーンも優しい色合いで素敵です。

車山と湿原の草紅葉
〈蝶々深山方面からみた車山湿原と車山〉

霧ヶ峰は大半が草原なので木々の紅葉は少ないのですが、沢渡方面の広葉樹が黄色く色づいていました。

木々が黄色く色づく
〈車山湿原から沢渡方面を眺める〉

こちらはレンゲツツジの木です。

赤い葉をつける低木
<レンゲツツジ>

5月頃に咲く深紅の花とはまた違った色合いの赤です。
日差しを受けて輝く様子は燃えているようで、葉が落ちる前に、最後のエネルギーを使っているように見えました。

八島ヶ原湿原では木の上に黄色とピンク色を見つけました。

黄色の実
〈ツルウメモドキ〉
〈ユモトマユミ〉

ツルウメモドキとユモトマユミの実です。
どちらもしばらくすると弾けて、中から赤い実が現れます。

植物は花の季節だけでなく、花を咲かせるまでにも、咲かせた後も刻々と変化しています。
そんな植物の変化を知ることができるのも、秋ならではかもしれませんね。

湿原の草紅葉

2021.09.20

連休初日は雨模様でしたが、昨日今日と突き抜けるような青空の秋晴れです。
標高の高い山では、紅葉の便りも聞こえてくる頃ですが、霧ヶ峰は草紅葉(くさもみじ)が始まっています。

踊場湿原の草紅葉
<踊場湿原の草紅葉>

こちらは踊場湿原の草紅葉です。
皆さんはこの写真の中にいくつの色を見つけられるでしょうか。
湿原の中は緑色、黄色、橙色。写真では分かりませんが、一部真っ赤な部分もありました。
それから草原の薄茶色に、空の青。

その中の一部を見てみましょう。

橙色に色づくシダ植物

湿原内はオニゼンマイやヤマドリゼンマイなどゼンマイの仲間が多いのですが、この写真に写っているような植物が紅葉しています。
自然の描くキャンパスは様々な植物の色が混じりあい、ここにしかない景色を作り上げています。

ところ変わって、八島ヶ原湿原でも草紅葉が進んでいます。

八島ヶ原湿原
<八島ヶ原湿原>

橙色に染まる湿原の中、八島ヶ池にはポツンと燃えるような赤

湿原にある赤い植物

シツゲンヤマウルシと呼ばれている植物ですが、真っ赤なのでわずかながらも目立っていました。

さて、咲いている花はノコンギクなど残りわずかですが、すでに咲き終わった植物は、種を付けて次の季節への準備中。
下の写真は何の種か分かりますか?

紫色の種
緑と赤い実
白い綿毛
白い種

正解は、1.ウド、2.マムシグサ、3.ヤナギラン、4.サラシナショウマ、でした。
八島ヶ原湿原ではサラシナショウマが群落をつくるのですが、私は今年見逃してしまいました。
自然の中にいるとゆったりとした時間を感じますが、植物たちの方は、せっせと忙しくしているのかもしれません。

草紅葉と様々な種を付けた植物たち。ぜひじっくり眺めてみてください。

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