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ニッコウキスゲ開花状況【2023年7月10日】

2023.07.10

ニッコウキスゲの開花が進み、見頃の場所が増えてきました。

・車山肩…3~4割ほど
・霧ヶ峰自然保護センター周辺園地…4割程
・富士見台…見頃
・八島ヶ原湿原…見頃
(割合は霧ヶ峰自然保護センターで確認したものです)

柵に囲まれたニッコウキスゲ
<車山肩>
日ざしを受ける花
<車山肩>
電気柵に囲まれた花
<園地>
黄色に染まる草原と山並み
〈富士見台〉

富士見台周辺は5月に林野火災があり、火災直後ニッコウキスゲ保護地の大半は、黒い焼け野原となっていました。火災のことをご存じない方にとっては、ここに火が入ったとは気づかないかもしれませんが、遊歩道脇のロープや電気柵の一部も焼けてしまったため、新しいものに交換しています。

また、ニッコウキスゲの中に生えているレンゲツツジの木を見ると、表面が黒いことが分かります。

ニッコウキスゲと黒い低木
<右側の低木がレンゲツツジ>

ここに火が入ったことを物語るレンゲツツジの木です。

ニッコウキスゲ自体は、枯草が焼き払われて日当たりが良くなったことで例年より開花数が多い印象です。

黄色い花と山並み

富士見台を散策されている方に、「霧ヶ峰はなぜ木が生えていないの?」と質問されました。

霧ヶ峰は江戸時代の頃には既に木々の伐採や、馬や牛など家畜の飼料として利用するための採草地として利用されてきました。
草を刈るのは鎌、草を運ぶのは荷車をひく馬や牛。
「歩いてくるのは大変だっただろうね」とおっしゃっていましたが、自動車の無い時代に霧ヶ峰に来るのは今よりずっと時間がかかったでしょう。当時、草は生活に欠かせない必需品だったため、わざわざ山を登って来るだけの価値があったのです。
昭和30年代以降は、採草地としての利用は極端に減ったため、徐々に木々は増えてきています。

草原と花々
〈富士見台より・奥は植林です〉

そんな話をしたところ、「昔の景色が目に浮かんでくる気がする」とおっしゃっていました。
風景を眺めるだけでなく、自然や歴史文化に注目すると目の前の景色が違って見えてくるかもしれません。

ニッコウキスゲ開花状況【2023年7月2日】

2023.07.02

昨日までの雨風でレンゲツツジの花が落ちてしまいましたが、入れ替わるようにニッコウキスゲの花が増えてきました。

・富士見台…1割
・八島ヶ原湿原…1~2割
・車山肩…咲き始め
・霧ヶ峰自然保護センター周辺園地…咲き始め
(割合は霧ヶ峰自然保護センターで確認したものです)

なだらかな山と黄色の花
〈富士見台・7月2日撮影〉
青空と草原
<富士見台>
長く伸びた黄色の蕾
<茎も蕾も伸びてきました>

5月の火災で日が入った富士見台ですが、ニッコウキスゲはぐんぐんと成長中。
霧ヶ峰の中では見ごろになるのが早い場所で、今は一割程度ですが、あと3日ほどで一気に開花数が増えそうです。
花自体は一つの茎に6~7個ほどついていて入れ替わり立ち代わり咲くので、しばらく楽しめるかと思います。また、霧ヶ峰全体では例年通り7月中旬に見ごろとなりそうです。

草むらに黄色の花
<八島ヶ原湿原・6月30日撮影>
ニッコウキスゲ
<八島ヶ原湿原・ニッコウキスゲ>

草原全体も青々としてきて、様々な植物が草原を彩っています。
草むらからは虫たちの鳴き声も聞こえ、八島ヶ原湿原では水色が美しいトンボを見つけました。

青色のトンボ
<イトトンボの仲間です >

いよいよ夏が来るなぁとワクワクする気持ちでいっぱいです。

最後に、この夏は恒例のイベント「ナイトウォーク」の他、セイヨウタンポポなどを使った紙すきイベントも企画しました。
親子で楽しめるイベントを色々用意したので、是非ご参加をお待ちしております。
詳しくはお知らせのページをご覧ください。

霧ヶ峰火災のその後(2023.5.21追記)

2023.05.07

ニュースでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、5月4日13時半過ぎに霧ヶ峰で大規模な火災が発生しました。

火災は、霧ヶ峰の南に位置するカボッチョと呼ばれる山でおきました(一般的な地図ではガボッチョと記されていますが、センターでは以前から使用されているカボッチョと表記します)。

黒く焼けた山
〈センター近くから見たカボッチョ〉

ゴールデンウィーク中盤、多くの人で賑わう中でのことです。山肌をゆらゆらと移動する炎と、上空まで立ち昇る大きな煙に驚いた方も多かったかと思います。

山肌を覆う炎
<カボッチョ北側を走る炎>

夕方には富士見台まで延焼。
車山山頂直下の広い範囲(現時点で約180ヘクタールと推定)が焼けましたが、多くの方々の消火活動により翌5日朝に鎮圧し、昼過ぎに鎮火しました。
出火原因は現段階で不明です。

翌日、センターでは火災や交通状況をインターネットや来訪者に伝えたり取材を受けたりと、対応に追われた一日でしたが、ケガ人や建物への大きな被害が無くひとまず安堵しました。

火災後の状況です。
車山肩の山小屋や建物はいつもどおりの姿で、車山肩からは焼けた様子はあまり見えません。

茶色の草原
<車山肩>

登山道を歩き、最初の大きなカーブに差し掛かると、目の間に黒い焼け野原が…。

黒く焼けた地表
<車山肩から車山山頂へ向かう最初のカーブから見たカボッチョ方面>
焼けたササ
<煤けたササ>

煤けたササが積もり、登山道の近くまで黒くなっていたので唖然としました。

車山山頂まで登ると、気象レーダードームと2020年に新設されたスカイテラスにも影響が無いことを確認。火の手はテラスの15m程まで迫っていました。

山頂の建物
<気象レーダードーム>
テラス
<展望テラス>

自然環境への影響について、移動できる哺乳動物や鳥は火から逃れられたかと思いますが、営巣中のヒナや昆虫には影響があるでしょう。
植物では低木のレンゲツツジが焼けてしまったものもありましたが、蕾がしっかり残っているものもありました。

黒い大地から枝を伸ばすレンゲツツジ
<蕾の付いたレンゲツツジ。例年見頃は6月。>

草本は芽吹きが始まった頃です。
霧ヶ峰を代表するニッコウキスゲは現時点で、芽吹いているものは多くなく、また群生地の車山肩は
火が入っていません。ニッコウキスゲに関して、現段階では火災による影響は大きくはなさそうです。

枯草の中に出ている葉
<ニッコウキスゲの芽>
新芽が出ている場所は少ない
<この時期は全体的に芽は少なめ>

広い草原景観が特徴の霧ヶ峰は、もともと火入れ(野焼き)をすることで出来上がった自然環境です。
現時点で詳細な影響は分かりませんが、霧ヶ峰の自然が無くなるわけではありません。

こちらは、2013年4月の野焼きが延焼した際の様子です。

黒い範囲が大きい草原
<踊場湿原北側斜面5月1日撮影>
緑の範囲が多い草原
<5月31日撮影>

火入れ後に新芽が芽吹き、一か月ほどで青々とした草原が現われました。
植物たちが一斉に成長する、自然の大きな力強さが感じられないでしょうか。

今後、風評被害が心配されますが、霧ヶ峰の自然を実際に見て、その良さを多くの方に伝えてもらえると幸いです。

最後に、火が入ったことで山菜などの芽吹きが良くなるかもしれませんが、草原内に立ち入ったり採取したりはしないでください。立ち入ることで折角芽吹いた植物を踏みつけてしまうことになります。
また、出火場所となったカボッチョは遊歩道が整備されていない民有地のため、立ち入らないようお願いします。

(2023.5.21追記)
火災のおおよその範囲は以下の通りで、道路及び登山道に影響はありません。

火災の範囲(カボッチョ~富士見台~車山山頂直下)
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