霧ヶ峰ブログ
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作業着のポケットに手を入れたら、しばらく見あたらなかった探し物が出てきました。無くしものが出てくるとなんだか妙にうれしくなりますよね。
ズボンの反対側のポケットに手を入れたら、小さな固いプラスチックがでてきました。
「これなんだっけ…」
去年の記憶がよみがえってきました。
2023年5月4日の昼過ぎ、霧ヶ峰の南に位置するカボッチョという山で火災が発生し、車山まで翌朝にかけて燃え広がりました。約166haを焼く大規模な火事となってしまいましたが、原因は結局判明しませんでした。
掌でつかんだのは、富士見台の遊歩道で焼き切れたロープです。
この火事による人命への被害はありませんでしたが、富士見台や車山に設置されていたロープはところどころ溶けていました。
富士見台は、ニッコウキスゲの群生地。
花々が沢山咲く場所を守りたいと、関係者の方が以前から色々と試行錯誤されている場所です。焼き尽くされた光景を見てとても悲しくなりましたが、できることをしようと、ロープ張りのお手伝いをしました。
火事の時、私は霧ヶ峰にいませんでしたが、夜も火が衰えず盛んに燃えていることを知って、気が気じゃありませんでした。風向きが変わって、センターの方へ来てしまったらどうしよう、新しくなった展示が消えてなくなってしまったら…。
つい自分のことを考えてしまいましたが、展示については従来の内容だけでなく、研究者の方の最新の知見をまとめ、私自身頑張って携わった思い入れのあるものです。新たな展示ももちろんですが、火事でもしもの時、これは持っていかなればと思ったものがこれです。
今までセンター職員が作ってきた展示物の数々です。霧ヶ峰の自然を知ってもらおうと工夫した展示は、センターの宝です。職員が制作したり、インターン生が作ってくれたもので、来館者の方にとても好評です。
この夏、インターン生がセンターで就業体験をしました。
展示についても興味があるとのことだったので、展示物を制作してもらうことにしました。霧ヶ峰で見られる様々な気象現象をギャラリー風に見せたいと以前から考えていたので、その協力をしてもらいました。
限られた時間の中でも、情報の正確性を大事にしながら調べたり、手を動かして工作をしたり、積極的にとりくんでくれました。感想を聞くと、「初めての経験だったけどとても楽しかった」と言っていたのが嬉しかったです。
私自身、センターでの仕事がとても楽しいです。生きものに溢れた霧ヶ峰の自然に直に触れ、自分自身も生きていることを実感できる、そんな場所です。
霧ヶ峰には全国各地から多くの方がこられますが、センターで皆さんと会話をすることも楽しいです。
こうした仕事に就きたくてもなかなか就けない方もいらっしゃるかもしれません。
だからこそ私自身、一生懸命に仕事しなきゃと思っています。
自分に何ができるか考えながら物事に取り組み、新しいことにもチャレンジできたら、きっと自分でも気づかなかった新しい世界が広がっていると思います。
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