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霧ヶ峰火災のその後(2023.5.21追記)

2023.05.07

ニュースでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、5月4日13時半過ぎに霧ヶ峰で大規模な火災が発生しました。

火災は、霧ヶ峰の南に位置するカボッチョと呼ばれる山でおきました(一般的な地図ではガボッチョと記されていますが、センターでは以前から使用されているカボッチョと表記します)。

黒く焼けた山
〈センター近くから見たカボッチョ〉

ゴールデンウィーク中盤、多くの人で賑わう中でのことです。山肌をゆらゆらと移動する炎と、上空まで立ち昇る大きな煙に驚いた方も多かったかと思います。

山肌を覆う炎
<カボッチョ北側を走る炎>

夕方には富士見台まで延焼。
車山山頂直下の広い範囲(現時点で約180ヘクタールと推定)が焼けましたが、多くの方々の消火活動により翌5日朝に鎮圧し、昼過ぎに鎮火しました。
出火原因は現段階で不明です。

翌日、センターでは火災や交通状況をインターネットや来訪者に伝えたり取材を受けたりと、対応に追われた一日でしたが、ケガ人や建物への大きな被害が無くひとまず安堵しました。

火災後の状況です。
車山肩の山小屋や建物はいつもどおりの姿で、車山肩からは焼けた様子はあまり見えません。

茶色の草原
<車山肩>

登山道を歩き、最初の大きなカーブに差し掛かると、目の間に黒い焼け野原が…。

黒く焼けた地表
<車山肩から車山山頂へ向かう最初のカーブから見たカボッチョ方面>
焼けたササ
<煤けたササ>

煤けたササが積もり、登山道の近くまで黒くなっていたので唖然としました。

車山山頂まで登ると、気象レーダードームと2020年に新設されたスカイテラスにも影響が無いことを確認。火の手はテラスの15m程まで迫っていました。

山頂の建物
<気象レーダードーム>
テラス
<展望テラス>

自然環境への影響について、移動できる哺乳動物や鳥は火から逃れられたかと思いますが、営巣中のヒナや昆虫には影響があるでしょう。
植物では低木のレンゲツツジが焼けてしまったものもありましたが、蕾がしっかり残っているものもありました。

黒い大地から枝を伸ばすレンゲツツジ
<蕾の付いたレンゲツツジ。例年見頃は6月。>

草本は芽吹きが始まった頃です。
霧ヶ峰を代表するニッコウキスゲは現時点で、芽吹いているものは多くなく、また群生地の車山肩は
火が入っていません。ニッコウキスゲに関して、現段階では火災による影響は大きくはなさそうです。

枯草の中に出ている葉
<ニッコウキスゲの芽>
新芽が出ている場所は少ない
<この時期は全体的に芽は少なめ>

広い草原景観が特徴の霧ヶ峰は、もともと火入れ(野焼き)をすることで出来上がった自然環境です。
現時点で詳細な影響は分かりませんが、霧ヶ峰の自然が無くなるわけではありません。

こちらは、2013年4月の野焼きが延焼した際の様子です。

黒い範囲が大きい草原
<踊場湿原北側斜面5月1日撮影>
緑の範囲が多い草原
<5月31日撮影>

火入れ後に新芽が芽吹き、一か月ほどで青々とした草原が現われました。
植物たちが一斉に成長する、自然の大きな力強さが感じられないでしょうか。

今後、風評被害が心配されますが、霧ヶ峰の自然を実際に見て、その良さを多くの方に伝えてもらえると幸いです。

最後に、火が入ったことで山菜などの芽吹きが良くなるかもしれませんが、草原内に立ち入ったり採取したりはしないでください。立ち入ることで折角芽吹いた植物を踏みつけてしまうことになります。
また、出火場所となったカボッチョは遊歩道が整備されていない民有地のため、立ち入らないようお願いします。

(2023.5.21追記)
火災のおおよその範囲は以下の通りで、道路及び登山道に影響はありません。

火災の範囲(カボッチョ~富士見台~車山山頂直下)
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