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実りの秋とニホンジカ

2023.11.06

夜に車を走らせていると空からパラパラ…。

雪?!と思いきやカラマツの落ち葉でした。

青空とカラマツの黄色い葉
〈カラマツの黄葉〉

11月に入ると雪が舞う日が出てくる頃ですが、今年は気温が高い日が多いので初雪はいつになるでしょうか。

霧ヶ峰では冬鳥が見られるようになってきました。先日見かけたのはアトリらしき鳥の群れ。八島ヶ原湿原ではイスカも観察されたようです(探しにいきましたが私は見つけられませんでした)。

下の写真のホオジロは年中観察できる鳥ですが、ズミの木にとまっていました。

木に止まる鳥
<ズミの木に止まるホオジロ・八島ヶ原湿原で>

今時期は広葉樹が落葉しているので鳥が探しやすいです。ズミの実は鳥にあまり好まれないのか割と残っていますが、他に食べるものが無ければ、この実も食糧になります。

八島ヶ原湿原周辺では、他にも鮮やかな実がたくさんなっていました。

ピンク色と赤が鮮やかな木の実
<ユモトマユミの実>
オレンジが鮮やかな実が鈴なりに
<ツルウメモドキの実>

レンゲツツジの低木の中、すっと伸びた茎の先についていた綿毛がとっても気になりました。くるんとした羽毛のようなふわふわの綿毛の根元に種がついていて、軽やかに舞っていきそうな形です。

中心から放射線状に伸びる綿毛
<ふわふわの綿毛>


「うーん、君は誰?」
しばらく考えてしまいましたが、クサボタンでした。

青紫色の花
<クサボタン。花期は8月頃>

花もくるんとしていて、可愛らしく楽しげな形です。センターの近くではあまり咲いていない花です。

最後に、御射山近くで出会ったニホンジカの様子を。

小さな角を持つシカ
<オスジカ>

角は生えていますが、白く先が尖った枝角ではなく、黒い袋角がちょこんと生えているように見えます。あまり見慣れない変わった形の角ですね。
秋はシカの繁殖期。何頭ものメスと行動を共にする群れの様子もよく見られます。

体全体も黒くなって冬毛に変わってきました。

動植物の様子から秋から冬へと移り変わっていることを実感します。

霜柱立つ晩秋の霧ヶ峰

2023.10.22

今朝、長さ5センチほどの大きな霜柱がたくさんできていました。

日に当たって白く輝く霜柱
〈センター近くで見た霜柱〉

鼻をツンと刺すような冷たい冬の空気だけではなくて、草の良い匂い(昨日ボランティアの方々が草刈りをしたので)と、近くに生えているドイツトウヒの柔らかい香りもしました。
冬の空気感っていいですよね。

今朝は氷点下となり厳しい冷え込みでしたが、ここ4日ほどの気温がこちらです。

最高気温最低気温
19日15.0℃2.0℃
20日13.8℃5.6℃
21日13.8℃3.1℃
22日8.5℃−5.2℃

今日は天気が良くて歩かれる方が多かったのですが、昼間でも体が縮こまるような寒さ!
指や耳など肌を出しているところがすぐに冷たくなって、帽子や手袋が無いと凍えそうです。

青空となだらかな霧ヶ峰の景観
<真っ青の空。色の補正はしてないですよ!>

忘れ路の丘から見た霧ヶ峰全体の景色ですが、目を見張るような空の青さですね。

次は色鮮やかな黄色い風景を。
霧ヶ峰はもう晩秋という感じで、紅葉はピークを過ぎつつありますが、黄色が多めの秋らしい景色です。

黄色に染まる葉に覆われた林の中
<センター近くのミズナラの樹叢>

林の中を歩くと、天井が明るくて楽しい気分になります。
時々はらりと、舞い降りてくる木の葉。

落ち葉は少し寂しげな雰囲気に感じられますが、植物にとってどんな意味を持つのでしょう。

黄色い葉
<日が差して輝く葉>
赤く燃えるような葉の色づき
<冬芽がついているレンゲツツジ>

落葉樹は、厳しい寒さから身を守り、余計な栄養を使わないよう冬前に葉を落とします。
葉が落ちる前、葉に含まれている養分は分解され、冬芽や根などほかの組織に置き換わる準備をします。葉としての役目は終えても、木が生きていることに変わり無く、落ち葉自体もさまざま生きものに分解されて土に還ります。

自然は無駄がありませんね。

さて、今月17、18日に霧ヶ峰インタープリター養成講座が開催されました。

講師と受講生
<講座の様子>

この講座では、座学やプログラム発表をとおして、霧ヶ峰ならではのインタープリテーションを体験してもらうことを狙いとしています。
私たち職員も講師となり、プログラム作成のお手伝いをしました。

参加者の前で発表する様子
<発表の様子>

参加者それぞれに、自然を見る視点や感性が違うことを実感します。
慣れない作業に苦戦する姿も見られましたが、きっと皆さん自然の面白さを感じられ、霧ヶ峰のことをより好きになってもらえたのではないでしょうか。

この時期の霧ヶ峰にも魅力がたくさんあります。
防寒対策をして晩秋の霧ヶ峰を堪能してみてください。

真っ赤なナナカマドと青紫色のリンドウ

2023.09.22

今年は9月に入っても暑い日が続きますね。
夏以降、いつもならセンターで使っているストーブをまだ使っていないです。

ここ5日間の気温を確認してみると…

9月最高気温最低気温
17日26.6℃17.5℃
18日25.0℃15.0℃
19日25.0℃18.0℃
20日23.0℃15.0℃
21日17.9℃15.1℃

昨年の9月は最高気温が25℃を超える日が無かったので、今年は気温が高いのですが、街に比べれば涼しいよ、と言われそうです。
少しでも涼しいところへ行こう、という考えの方が多かったのか3連休はお盆の頃のような賑わいでびっくりでした!

連休を過ぎた平日は訪れる人が少なく、草原に咲いている花もまばら…というと寂しげですが、私はこの時期に歩くのが好きです。

広大な草原
<車山乗越~北の耳。草原を独り占めした気分になれます>

久しぶりに車山周辺へ来てみると、車山と蝶々深山の間の車山湿原は黄色く色づいています。
この色合いを見ていると、青々としていた時期はあっという間に通り過ぎてしまうんだなぁと感じます。

ススキの向こうの地面は黄色く色づいている
<車山湿原の草紅葉>

木々の葉も紅葉してきているのですが、とある木の赤い色が目につきました。

紅葉だと思い近づいてみると…。
赤い実がたわわになっていました!

赤い実を沢山つけた木
草原にポツンと立つ木

この木は、車山乗越から北の耳まで歩いていると、とても目立つ木で偏形樹と呼ばれています。
一定方向からの風を受けることで風下方向に伸びた形をしているのですが、何の種類か気に留めたことがありませんでした。

改めて見ると、葉は羽形、鋸歯(歯の縁のギザギザ)は細かいものの鋭い特徴があるナナカマドでした。
ナナカマドの紅葉はすばらしいですが、もう少しするとこの木も色鮮やかになるのでしょうか。

今の時期は、草むらの中にリンドウの花もポツポツ咲いています。

上向きの紫色の花
<草の中をよく見ると…>

丈が小さく先端についている花も少なめのものが多いのですが、吸い込まれそうな紫色に目を奪われます。

宮澤賢治の小説「銀河鉄道の夜」にも出てくるリンドウ。
「もうすっかり秋だねえ」というセリフに、うんうんと頷ける秋の花です。
どこまでも続くようなススキの草原を歩きながら、リンドウを辿って歩くと、少し寂しいような、改めて大切なものに気が付けるような、そんな物語の世界に入り込んだ気分になるかもしれませんね。

子どもたちと自然保全活動を行いました

2023.09.08

ブログをしばらく更新していない間にすっかり秋モードの霧ヶ峰です。

センターの周辺ではススキの穂がだんだん広がってきました。

夕日に照らされオレンジ色のススキ
<夕日に染まるススキ>
夕日に染まるススキ草原
〈忘れ路の丘〉

これから先10月末位まで、しばらくこの風景が見られます。

草原には、ウメバチソウやノコンギクなどの花が咲いています。

白い花
<ウメバチソウ>
薄紫色の花
<ノコンギク>

夏に群生するニッコウキスゲなどとは違って、数はそんなに多くはありませんが、夜空に瞬く星のように、草原に散りばめられた花々。探しながら歩くと楽しいです。

こちらの写真、子どもたちは何を探しているのでしょうか。

草地にかがむ子供たち

探しているのは、へラバヒメジョオン。北アメリカを原産とした外来植物です。
霧ヶ峰本来の生態系に影響を及ぼす可能性があるため、協議会では駆除作業を計画的に行っているのですが、今回は学校の希望で作業を行うことになりました。

今の時期は形が似たキク科の花があるため、間違えないように気を付けながら作業をしてもらいました。一生懸命作業に取り組んでくれて、「楽しい」という声が聞こえたのが嬉しかったです。

小さな白い花
<へラバヒメジョオン>

このヒメジョオン類、霧ヶ峰では1970年代から侵入が報告されています。
観光道路ビーナスライン白樺湖~霧ヶ峰間が開通したのが1968年。
多くの人たちが訪れるようになり手軽に自然を味わえるようになった反面、人々の行動によって自然への影響は少なからず出ています。
その後1973年、霧ヶ峰自然保護センターが開館しました。霧ヶ峰の自然・歴史文化を後世へ伝えること、また保全の役割も担っています。

ちなみにセンターが開館した日は9月4日。実は50周年という節目の年なんです!

話は戻りますが、自然への影響ということについて、8月末に来たインターン生が実習で課題として取り組んでくれました。
実習では霧ヶ峰パークボランティアの皆さんと共に体を動かし公園整備を行ったり、外来種駆除作業も一緒に手伝ってもらいました。

大学生と小学生
<外来種駆除作業の様子、インターン生と小学生が作業に取り組み中>

最後に、インターン生の文章を抜粋したものを紹介します。

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ボランティアの皆さんが楽しく自主的に活動を行っている姿を見て、霧ヶ峰の保全に
対する熱意に尊敬したとともに、私も積極的に保全活動に携わりたいと思いました。
私は自然保護と観光振興の両立について理解を深めたいと考え、インターンシップに
参加させていただいています。
霧ヶ峰は木々が少なく、周囲の景色が見渡せる開放感が魅力です。霧ヶ峰に訪れた際
にはぜひ車から降りて、五感を使い自然を味わってほしいと思っています。

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利用と保全の両方が成り立つように努力することが、センターとしてのひとつの使命だと思います。
訪れる方たちも是非そのことを知ってもらい、自然を感じること、自分にできることを考えてもらえると嬉しいです。

ノリウツギ・ヤナギラン咲く八島ヶ原湿原

2023.08.05

学校が夏休みに入り、センター館内も子どもたちの賑やかな声が響いています。
子どもたちが楽しめる工夫を凝らしているので是非散策の前後にお立ち寄りください(もちろん大人の方も楽しめます)。

さて、夏真っ盛りのこの季節、白い花を賑やかに付けた木が目立っています。

白い花
〈めいっぱい花を咲かせています〉

ノリウツギです。
アジサイのような見た目ですね。花びらのような白い部分は装飾花の萼片です。
漢字で書くと糊空木。ノリは糊を意味しています。
先日センターで紙すき体験を行ったのですが、参加されたお子さんは紙ができる工程に興味を持たれたようでした。
ちなみに和紙は、コウゾやミツマタといった樹木の繊維をすいて作られますが、ノリウツギの内皮の粘液も使われるそうです。

このノリウツギなのかは分かりませんが、八島ヶ原湿原を歩いていると何とも言えない甘い香りが漂ってきます。

湿原の池
<八島ヶ原湿原・白い花を咲かせているのがノリウツギ>
青空と白い雲が映る池
<夏空を映し出す八島ヶ池・水草が繁茂しています>

他にはアカバナシモツケヤナギランなど濃いピンク色の花が目につきます。

赤いふわふわした花
<アカバナシモツケ>
濃いピンク色の花の群生
<ヤナギラン・広場から旧御射山神社の間に群生>

見ているだけで楽しくなる様々な花たちです。

耳を澄ますと草むらからはトゥルルル、カタカタカタ…と虫の鳴き声が。
霧ヶ峰には様々な種類のバッタの仲間が生息していますが、しばらく聞いていると鳴き声が急に変わったりして面白いです。

自然は五感を刺激しますね。

今夜は親子ナイトウォークが開催されます。
お天気がすこし心配ですが、草木から香る匂いと湿気を感じる濃い空気の中で、生きものたち息吹を感じてもらえると嬉しいです。星空は見えるでしょうか。
ドキドキしながら夜を待ちます。

園地で咲くチダケサシ・ヤナギラン・マツムシソウ

2023.07.27

ニッコウキスゲの見ごろが過ぎ、花数が少なくなってきました。
車山肩のあたりでもだいぶ減ってきましたが、まだ少し咲いています。

草原に点在するニッコウキスゲ
〈車山肩から車山山頂にかけて・電気柵の中で〉

よく見るとノアザミやハナチダケサシの花もちらほらと。
ニッコウキスゲが終わってきて少し寂しいですが、ニッコウキスゲが終わりでも他の花は今が盛りです。霧ヶ峰ではこれから8月上旬にかけてが花のピーク、センター周辺でもいろいろな種類の花が咲いていて、それに集まる昆虫たちも賑やかです。

紫の花にとまる蝶
<ノアザミにとまるウラギンヒョウモン>

シシウドにコオニユリ…。様々な花が目を楽しませてくれます。

背の高い花
<シシウド>
オレンジの花
<コオニユリ>
ピンク色の花畑
<チダケサシのお花畑>

盛夏に咲く花、ヤナギランも開花し始めました。

ピンク色の丈の長い花
<ヤナギラン・第二園地の辺りで>

ヤナギランは八島湿原でも咲きはじめましたが、御射山に向かう途中の群生地では例年より多く開花しそうです。下から順番に花を咲かせる植物ですが、濃いピンク色が元気をもらえる花ですね。

このヤナギランは、管理されているスキー場や火入れをした場所によく出てくると言われています。
以前は霧ヶ峰でも様々な場所で咲いていましたが、いまはシカの食害により、防鹿柵の中でしかまとまって見られません。ちなみに、八島ヶ原湿原、センター前園地、車山肩S字カーブ付近で見られます。

マツムシソウも開花しました。

紫色の花
<マツムシソウ・第一園地辺りで>

次から次へと花咲く夏真っ盛りの霧ヶ峰です。熱中症対策をして、午後は急な雨にも注意して散策をお楽しみください。

ニッコウキスゲ開花状況【2023年7月15日】

2023.07.15

霧ヶ峰で今、ニッコウキスゲが見頃です。

・車山肩…ほぼ見頃
・霧ヶ峰自然保護センター周辺園地…見頃
・富士見台…見頃やや過ぎ
・八島ヶ原湿原…見頃
(割合は霧ヶ峰自然保護センターで確認したものです)

橙色に染まる草原
〈車山肩〉
ニッコウキスゲ保護地
<車山肩から車山山頂へ向かう途中>

霧ヶ峰でニッコウキスゲの群生が見られるのは、ニホンジカが植物を食べる食害から守るため設置した柵の中です。霧ヶ峰では現在、車山肩、富士見台、八島ヶ原湿原、自然保護センター周辺の園地等に柵が設置されています。

ニッコウキスゲ見られる場所

10年以上前は、車山山頂や蝶々深山、センター周辺もニッコウキスゲの群生が広がり、山が橙色に染まるように見えるほどでした。
以前の霧ヶ峰を知る方にとっては、寂しく見えるかもしれませんが、食害の影響を少しでも減らすため、毎年地権者の方や行政の方々が電気柵の設置を行い、八島ヶ原湿原の鋼鉄柵は毎月点検を行うことで、ニッコウキスゲをはじめとする植物を保護しています。
柵周辺では夜になると何十頭ものシカの群れが行動しています。柵の中のニッコウキスゲをはじめとする植物は、とても魅力的に見えるでしょう。
柵の段数を増やしたり二重にしたりと、試行錯誤を繰り返しながら植物を保護しています。

霧の中で咲くニッコウキスゲ
<霧の中で咲く>

夕暮れ時、霧の中ニッコウキスゲの様子を見に行ったところ、強い風に吹かれてユラユラと揺れていました。他に誰もいない中、じっと眺めていたのですが、ニッコウキスゲがまるで何か話をしているように動いて見えました。

風を受けとめて揺れる様子に、しなやかな強さも感じられます。

このニッコウキスゲですが、5~7個蕾を付け順番に咲くため、花が咲き終わるとしおれたものが増えていきます。

しおれた花が付いたニッコウキスゲ

写真を撮られる方の中には、美しく見せるために、しおれた花を手折る方がいらっしゃいます。
ですが、自然のものは自然のままにしておいてくださいね。

最後に、3連休は多くの人出が予想されますが、車山肩の駐車場が混雑している場合はセンター周辺の駐車場もご利用ください。地図はこちらに掲載しています。

センター周辺でも様々な花が開花中ですので、花を眺めながら散策できておススメです。

背丈の高い白い花
<第四園地で・シシウド>
細長い赤い花
<第四園地付近で・ヤナギラン>
まっ黄色の花
<キンバイソウ>

是非霧ヶ峰の夏を楽しんでください。

ニッコウキスゲ開花状況【2023年7月10日】

2023.07.10

ニッコウキスゲの開花が進み、見頃の場所が増えてきました。

・車山肩…3~4割ほど
・霧ヶ峰自然保護センター周辺園地…4割程
・富士見台…見頃
・八島ヶ原湿原…見頃
(割合は霧ヶ峰自然保護センターで確認したものです)

柵に囲まれたニッコウキスゲ
<車山肩>
日ざしを受ける花
<車山肩>
電気柵に囲まれた花
<園地>
黄色に染まる草原と山並み
〈富士見台〉

富士見台周辺は5月に林野火災があり、火災直後ニッコウキスゲ保護地の大半は、黒い焼け野原となっていました。火災のことをご存じない方にとっては、ここに火が入ったとは気づかないかもしれませんが、遊歩道脇のロープや電気柵の一部も焼けてしまったため、新しいものに交換しています。

また、ニッコウキスゲの中に生えているレンゲツツジの木を見ると、表面が黒いことが分かります。

ニッコウキスゲと黒い低木
<右側の低木がレンゲツツジ>

ここに火が入ったことを物語るレンゲツツジの木です。

ニッコウキスゲ自体は、枯草が焼き払われて日当たりが良くなったことで例年より開花数が多い印象です。

黄色い花と山並み

富士見台を散策されている方に、「霧ヶ峰はなぜ木が生えていないの?」と質問されました。

霧ヶ峰は江戸時代の頃には既に木々の伐採や、馬や牛など家畜の飼料として利用するための採草地として利用されてきました。
草を刈るのは鎌、草を運ぶのは荷車をひく馬や牛。
「歩いてくるのは大変だっただろうね」とおっしゃっていましたが、自動車の無い時代に霧ヶ峰に来るのは今よりずっと時間がかかったでしょう。当時、草は生活に欠かせない必需品だったため、わざわざ山を登って来るだけの価値があったのです。
昭和30年代以降は、採草地としての利用は極端に減ったため、徐々に木々は増えてきています。

草原と花々
〈富士見台より・奥は植林です〉

そんな話をしたところ、「昔の景色が目に浮かんでくる気がする」とおっしゃっていました。
風景を眺めるだけでなく、自然や歴史文化に注目すると目の前の景色が違って見えてくるかもしれません。

ニッコウキスゲ開花状況【2023年7月5日】

2023.07.05

ニッコウキスゲの開花が少しずつ進んでいます。

・富士見台…3割程
・八島ヶ原湿原…2~3割程
・車山肩…1割程
・霧ヶ峰自然保護センター周辺園地…1~2割程
(割合は霧ヶ峰自然保護センターで確認したものです)

黄色の花が埋め尽くす草原
〈富士見台〉
草原と雲海
<富士見台より・八ヶ岳と雲海>
色鮮やかな黄色の花
<ニッコウキスゲ>

富士見台では、開花数が増えていています。撮影した時は雲海が見えていたのと、涼やかな風が吹き抜けていたので、「天空のお花畑…」と思えるような景色が広がっていました。この景色を見ていたら、優しく包まれているような感覚を覚えたのですが、自然の持つ力は雄大です。

電気柵に囲まれた場所
<車山肩・電気柵内の様子>
パラパラと咲くニッコウキスゲ
<車山肩・蕾はいくつもあります>

車山肩はまだ開花数は少なめですが、蕾はいくつもあるのであと10日ほどで見頃になりそうです。

草原からは、ノビタキやホオアカ、ビンズイなど野鳥の鳴き声があちこちから聞こえてきます。
その中でも「ビィービィービィー」と聞こえるノビタキの幼鳥の鳴き声が目立ちます。近くでは親鳥の姿も。子どもたちの近くで、しっかりと見守っているようです。

ススキにとまる茶色の鳥
<ノビタキの幼鳥>
杭にとまる白と黒色の鳥
<ノビタキのオス>

動物に植物、たくさんの命があふれる季節です。是非さまざまな動植物の様子を観察してみてください。

ニッコウキスゲ開花状況【2023年7月2日】

2023.07.02

昨日までの雨風でレンゲツツジの花が落ちてしまいましたが、入れ替わるようにニッコウキスゲの花が増えてきました。

・富士見台…1割
・八島ヶ原湿原…1~2割
・車山肩…咲き始め
・霧ヶ峰自然保護センター周辺園地…咲き始め
(割合は霧ヶ峰自然保護センターで確認したものです)

なだらかな山と黄色の花
〈富士見台・7月2日撮影〉
青空と草原
<富士見台>
長く伸びた黄色の蕾
<茎も蕾も伸びてきました>

5月の火災で日が入った富士見台ですが、ニッコウキスゲはぐんぐんと成長中。
霧ヶ峰の中では見ごろになるのが早い場所で、今は一割程度ですが、あと3日ほどで一気に開花数が増えそうです。
花自体は一つの茎に6~7個ほどついていて入れ替わり立ち代わり咲くので、しばらく楽しめるかと思います。また、霧ヶ峰全体では例年通り7月中旬に見ごろとなりそうです。

草むらに黄色の花
<八島ヶ原湿原・6月30日撮影>
ニッコウキスゲ
<八島ヶ原湿原・ニッコウキスゲ>

草原全体も青々としてきて、様々な植物が草原を彩っています。
草むらからは虫たちの鳴き声も聞こえ、八島ヶ原湿原では水色が美しいトンボを見つけました。

青色のトンボ
<イトトンボの仲間です >

いよいよ夏が来るなぁとワクワクする気持ちでいっぱいです。

最後に、この夏は恒例のイベント「ナイトウォーク」の他、セイヨウタンポポなどを使った紙すきイベントも企画しました。
親子で楽しめるイベントを色々用意したので、是非ご参加をお待ちしております。
詳しくはお知らせのページをご覧ください。

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